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季語の絵日記

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季語の生きものたちの考察記録🌾
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2023年3月の記事一覧

今日の春の季語は「鰆」。 魚偏に春と書いて「サワラ」と読む。 サワラはサバ科の回遊魚で北…

春の雄鹿は密かに語る

花盛りにはまだ少し早いけれど、奈良公園の桜もぽつぽつと蕾をほどいて顔をほころばせはじめた…

初燕

空高くで声がしたから見上げてみると、それはツバメたちのにぎやかな談笑であった。 私はかつ…

啓蟄

今さら啓蟄の話か、と思われるかもしれない。今年の啓蟄は三月六日であったから、かれこれもう…

雀の子

雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る これはまたずいぶん乱暴な一句である。 歳時記を開いて…

春の鴨

今日は近所の池でオオバン観察だ。 と言われてもオオバンが何か分からない人もたくさんいるだ…

望潮

今日の春の季語は「望潮」である。こう書くとめったには読める人もいないだろうが、望潮とはつまりシオマネキのことである。 シオマネキというのはあの干潟に住んでいる片方のハサミだけが異様に大きなカニの仲間たちで、大きなハサミを左右にはためかす様子を干潟に波をまねく姿に見立てて「潮まねき」という名前がつけられた。 近年はずいぶん数が減って絶滅が心配されているということだが、九州の有明海にはまだまだたくさんのシオマネキたちが暮らしており、ムツゴロウとともに干潟の人気者となっている。

鳥帰る

鳥帰る。 何と哀しい季語だろう。 春の訪れに舞い上がってばかりいた私は、それが冬の終わりで…

続 春の鹿

今日は先週の発言を撤回せねばならない。 私は先週の記事の中で、「角川書店の『俳句歳時記』…

鴉の巣

大変なことが起こった。 私がいつも通る道の途中にカラスが巣をつくったのだ。子育てに奔走す…

春の日

ふと気がつけば池にはもう亀がいた。 どうやら冬眠から目覚めたばかりらしい。 亀は水面に浮い…

うららか

春の一日は暖かい。 原っぱで二羽のつぐみがぼーっとしている。 今日の彼女たちはとりたてて何…

春の鹿

角川の『俳句歳時記』にある「春の鹿」の説明があまりにひどいので異議申し立てる。 いわく …

初音

四日前に聞いた「ホキョ…」という頼りない声が私にとっての今年の初音であった。それは私が初音はまだかと注意していたから何とか気づいたものの、彼のラブソングはあまりにも自信なさげで弱々しかった。 「初音」とはその年初めて耳にするウグイスの囀りのことである。 それから二日後の一昨日にはあちらこちらでウグイスたちが囀り始めた。うち一匹は早くも「ホーーーホケキョッ」と見事な名声を轟かせてみせた。さすがは春告鳥と称されるだけあって、彼の歌声を聞いた私の心の内には確かに「おお春だ…」とい