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冬薔薇

吐く息も白い冬の記念日に、私は彼の歳の数だけ、深紅の薔薇を送る。


彼はミュージシャンだ。

彼の創る曲は、激しいギターリフのロックや、怪しげなポップチューンと型にはまらない面白さを持っている。それでいて、美しく繊細な心理描写と、どこか儚く切ないメロディ。

その孤独と才能に、私は知れば知るほど惹きつけられ、彼と彼の音楽を心から愛した。

彼のイメージは、薔薇なんて気取ったものではないのだけれど、血のように深い赫色は、音楽に心血を注ぎ、あるいは身を削ってでも曲を書き続けるストイックさに、よく似合う。


今年も29本の薔薇を携えて。
その本数が増えることはない。

何故なら、あの寒い冬の日、私が彼を知るのは、皮肉にも彼の訃報がきっかけだったのだから。

冬薔薇(ふゆそうび)
1月28日

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