人間不向き

「多様性」を認めようという社会的潮流が生まれてからそれなりの時間が経ったと思う。日本は他の先進国と比べて〜とか色々言う人もいるが、日本の社会も多少は変わってきている。

例えば「女性らしさ」について。他の国のことはよくわからないので置いておくとして、少なくとも日本では女性は「女性らしく」あることが古くから良しとされてきたことだ。そしてその「女性らしさ」の強要は明らかに良くないことなのでそれに対して声を上げる女性も見受けられてきている。例えば「#kutoo」だったり。ミスコンを廃止しようという運動だったり。少しづつだが社会は変わってきている。とてもいい傾向だと思う。

女性が「女性らしく」あることが良しとされてきたのと同じように、男性も「男らしく」あることが良しとされてきた(別に明確な根拠はありません。ただ僕がそう感じているだけです。これからはこの認識を前提に話を進めていくのでこれが間違っていると思ったらどうぞこの先は読まないでください)。

では、「男らしさ」とは何なのだろうか。僕が挙げるとしたら
・勇敢さ  ・物理的、心理的な力強さ
・決断力がある ・面白い話ができる ・賢い
・落ち着いている ・優しい 
こんなところだろうか。他にも色々あると思いますがとりあえずここら辺にしておく。

さて、ここで超個人的な話をする。何を隠そう僕自身、上にあげた「男らしさ」の条件を全くと言っていいほど満たしていない。ビビり。虚弱。なよなよしている。優柔不断。話はつまらん。頭が固い。あたふたしている。優しくない。もっと細かく言うと視野が狭い。もちろん、完璧な「男らしさ」を誇る人間などほとんどいないことはわかっているが、今まで僕が出会ってきた男性のほとんどはこれらの点で僕を上回っていたと思う。

当然なのかもしれないが、世間は僕のような「男らしくない」男性に対してはかなり厳しいように思える。僕は男なので女性の気持ちを想像するには限界があるが、恐らく女性の多くも「女性らしさ」の固定観念に苦しめられてきたことだろう。

問題はここからだ。前述したように、「女性らしさ」の克服は徐々に進みつつある。それに対し、「男性らしさ」の克服は残念ながらあまり進んでいないように思える。この「ように思える」が重要だ。

「男性らしくない」男性は比較的早い段階(19歳の僕にとって)から認められてきたと思う。それは「女子力」が高い男性に対してだ。女子力の高い男性(以下、女子力男子)。例えば料理が得意。例えばスキンケアをしっかりしている。(そういう能力が「女子力」と評されていることはまた別の議論を産むかもしれないが僕の話の本流とは関係なのでここでは流しておく。)女子力男子は「男らしい」男性とはまた別のカテゴリーとして社会的に認められていると思う。女子力男子であることは決して恥ずかしいことではないしむしろ好ましく評価されることが多い。

ここでまた超個人的な話に戻る。残念なことに僕はこの「女子力男子」でもない。部屋はひどく荒れているし手先は不器用だ。お世辞にも美容に気を使っているとは言えない。僕は「男らしく」はないし、女子力男子でやっていくことも向いていなさそうだ。

僕は今大学生だが、友人関係、サークルの先輩などとそれなりの社会関係を築いているがその中でもあくまで男としての役割を果たさなければならない。面白い話をする役割のときがあるし力仕事をする役割のときもある。もし僕が女子力男子だったら料理や裁縫などの役割を担えたかもしれない。ただ僕は「男らしさ」に該当する役割と「女子力男子」に該当する役割のいずれも十分に担えた記憶が無い。恐らく社会人として働き始めるとよりこのような役割を担っていかなければいけないだろう。しかし残念ながら僕に向いているものは無さそうだ。

(勘違いしないで欲しいが、僕は本当は面白い話をしたいし力持ちになりたい。そしてこのような役割を担わなければいけないのは当然だと思っているしそのことに何ら不満はない。ただただ、担いきれない自分が腹立たしいだけなのである。)

どれほど人類の価値観が変化して多様性を認める社会になるとしても、結局僕は男に生まれた以上、1人の男として評価されて生きていくことになるだろう。しかし、前述の通り僕は「男らしく」ないので男性に期待されている役割を果たすことはできないし裏をかいて女子力男子として生きていくこともできない。男としての魅力がゼロなのである。しかも残念なことに今から女性として人生をやり直すこともできない(「手術できるだろ」とかは言わないで。この文章の本流とは関係ない議論が生まれてしまうので)。ということは、、、だ。

男としての魅力がゼロ=人間としての魅力がゼロ

ということにならないか...????

努力不足と言われればそれまでなのかもしれない。筋トレをすれば力持ちになれるしたくさん勉強すれば賢くなれる。意識を変えれば部屋は綺麗になるし練習すれば料理が上手になる。それくらいわかっている。だが、残念ながら僕のこの19年間の人生で努力することは習慣になっていなかった。根っからの怠け者だ。恐らくこれからも怠け者で居続けることであろう。だから、何も変わらない。

ああ、僕はなんて人間に不向きなんだ。そう思い、不安を抱えながら今日もTwitterとスマホゲームに興じるのである。

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