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奇縁堂だより 号外【神保町の飲食店】

 注 : 今回は本の紹介はありません。次回以降の「奇縁堂だより」の導入のようなものです。

 先日,仕事で神保町に行ってきました。久しぶりだったということもあり,知っている店が違う店に変わっていたり,閉店していたりと,神保町が私が知らない街になりつつあると実感しました。

 かつてさくら通りの入り口にあったサンドラッグ(その前はスパーマーケット)だった建物がなくなっていたのには驚きました。

さくら通り入口

 そんなことを思ったからでしょうか,神保町について少し書きたくなりました。

 神保町は世界最大の古書店街といわれる街です。しかし,新刊を扱う三省堂書店,東京堂書店,書泉グランデなどの大型書店のほかにも,比較的小さな書店も多数ありました。
 また,有斐閣,岩波書店,集英社,小学館などの大手出版社は元より,圧倒的な数の中小出版社が軒を連ねていることでも有名です。

有斐閣
集英社本社ビル
小学館ビル

 
 ちなみに,神保町の町名の由来は江戸時代,豪壮な屋敷を構えていた神保伯耆守(じんぼほうきのかみ)に由来するそうです。

 私はこの街に足掛け40年お世話になりました。当初の17年間は,新宿にある出版社から新刊見本を抱えて神田村(小さな取次店が密集している地域の通称で,現在は再開発によって神保町三井ビルディングになっています)に通い,後半の23年間はこの街の小さな出版社で企画編集に携わりました。まさに,ドップリと神保町に浸かった40年でした。

 この間,時代の流れに抗えずに暖簾を下ろした店舗も多く,街の様相も大きく変わりました。古書の話は次回に回させていただき,今回は『懐かしの飲食店』と題して暖簾を下ろした飲食店の中から特に思い出のある店を挙げさせていただきました。

 著者への手土産に有名なマロングラッセを買い求めた『伯水堂』。数種類の薬味で割子そばの味変を楽しめた『出雲そば本家』,夏には欠かせませんでした。看板メニューのカツカレーを求めて連日行列が絶えなかった『キッチン南海』。餃子とビールだけで満足できた『スヰートポーズ』。天ぷら定食がこの値段で食べられるなんて!と驚かされた『いもや』

 酒と紫煙と喧騒の居酒屋『酔の介』,店の雰囲気は昭和そのもの,大変お世話になりました。割烹『きよし』の焼き鮭定食では,鮭の大きさに度肝を抜かれました。独特の味わいを堪能させてくれた欧風カレーの『ペルソナ』,蒸したジャガイモも美味かった。三省堂書店の地下にあったビアホールの『放心亭』は,旧称の『ローターオクセン』のころから通いました。

 錦華小学校の近くには酸辣湯麺が最高に美味かった中華料理の『四川』がありました。また富士見坂から駿河台下あたりでは,明大生の胃袋を廉価で満たしてくれる“とんかつ”の『駿河』と,洋食の『バンビ』がありました。そして千代田通りを斜向かいに渡れば,そこには老舗鰻店の『寿々喜』と,老舗天ぷら割烹の『魚ふじ』がありました。『魚ふじ』は著者の接待でしばしば伺わせていただきました。

 
 完全に “懐かしの神保町B級グルメリポート”になってしまいました。こうして振り返ってみると,神保町には和・洋・中にカレー,菓子とオールジャンルの飲食店が揃っていました。(もちろん現在も飲食店は充実しています。)他にも記憶に残る店がたくさんありましたが,今回はここまでとします。
 
 ここまでお読みいただきありがとうございました。
 次回は神保町の古書店にまつわる書籍の紹介をしようと思います。

書肆奇縁堂のURLはhttps://shoshi-kiendo.stores.jp です。


プロフィールの「ストアボタン」または「ストアを見る」からアクセスできます。


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