クロス【くろす、点滅、光より光としてある光】
「その光がどのような価値や意義をもつのか。その光を見出した瞬間と現在のあいだには、どのような違いがあるのか(ある教師の発問)」
「蜜だよぜんぶ。錆びるように、焼かれてもなにもかもそこにある(しきりに揺れている銀杏並木が光をうける様子をみて)」

○輝点として。説明のできない展開図として。くりかえす反転の残像として。ぼくを殺す火として。すべてが明るみに出てしまう。俯瞰。痛みとして。つかめない粘土のように。命の光速だけが感じられるフレアとして。残していくものと残されるものの分裂そのものとして。つねに未来からくるきみと過去から向こうへふりかえるぼくが。つくられたものともとからあったものが。無機が有機に変化するそのとき。摩擦熱としての祈りやかみさまがみえる。(だからぼくはきみに触れたくてたまらず、それが無限に記述されたはずの欲動であることがたまらなくつらかった。埋葬されたい。超越されたい。上書きということばの強烈な力。感じることができる。きみを通してせかいの外側をみている。そのことで点滅する愛と憎しみでさえも(爪の先で空白のノートを引っ掻くように))
○「するしかない、するしかない、それがせかいなのだから……」
「時間が短く感じる。記憶や季節が置き去りになって、愛するものよりも求愛したことばかりおぼえている」
「青くて、冬の匂いがして、齧ると懐かしい味だけどなにかはおもいだせない。知らない手触りなのに、耳をくっつけて聞こえるのはすべて知っているもののつぎはぎで、たとえあのこがそれを好きでも、わたしはなるべく知らないふりをしていたかった」

(参考)細くとがった金属が、ぼくの肌を突き破って食いこむ/首に回りこむ縄が見える。舌のように、袋のように/解放されながらぼくは待たされている、なにもかもがすれちがい、雨が降りしきる冷たさのなか
(図解)──逆転、流転、逆流、逆転、逆流、流転、逆転、流転、逆流、流転──(ランダム生成による)

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