幻詩分裂

きみ、と呼ぶような音程のお
             ん  垂れていくような
比喩が十字架として機能する が
               く(耳鳴り──────── 齧られていくのをみていた それが羨ましかった

 引き抜いたナイフから血が垂れるように、ぼくが語るものはぼく自身のものでしかなく きみが語ったこと‖だけをそっくりそのまま‖繰り返していたかった 歪んでいるものなどなにひとつないのに、崩れるものをみたことがないのに、どうしようもなく知っている…… ぼくはもう死んでいて、それなのに生きていた 隠れなければならなくて、カーテンの裏で息を潜めた すべてが懐かしく、そのままぼくは生き続けている……

しんせい                                                 神聖
げんし   ──分裂(おなじ表象がかたちになる ぼくの感じるものすべて、きみとおなじもの(のはずがないのに)) 幻詩
らんしの                                                乱視の

ベールのような光 エラのくぼみの影 なににも実感がなく、すべてが肉体的

冷えていく夢 きみが眠っているあいだに起きていることが耐えられないから、眠るのだ(よかったね、会えたねと神さまがいう)
角度か 鏡写しの部屋か 確かめようとおもったわけではないのに、普段と違うとおもった瞬間、ぼくの手つきは確かめるようだったことに気がつく(残された身体の、表象としての、線に見えるものの、それは(スケッチの)(分析の)(オイルタイマーの)(単位としての1つが、知らないうちに螺旋をつくる))

幻詩  幻死                きみが眠っていた、閉じられた瞼の隙間から
  幻歯                  
  原子(ここにあるもの 手放されるもの)   意味をもつ
  幻視
幻刺  幻肢                うつわなどとぼくは、絶対にいえない
    

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