憧憬の詩

 接続──永遠──手を組むと祈りにつながる、内包……無限……組んだ手にはすでに祈りがある、ふれあっていることは同じなのにちがってみえ、ぼくはいままで無音の場所にいたのだと 気がつくのはいつも耳鳴りがはじまってからだった 中に/外にある永遠の、てのひらとしてあなたがみえる(あなたをみていないわけじゃない)(ぼくが、あなたを選んだんです)
 それは窓として、鏡として、液晶として、扉として、詩として、海として、表情として、隠す手として、眩しさとして、暗がりとして、夢として、内臓として、胸として、秘密として、言い淀みとして、何度も読んだ本として、何度もきいた曲として、何度も遊んだゲームとして、何度も見た空として、なにをいっているかわからなくなったこととして、いいようのない感覚として、そのすべてを一つにしたいという願望として、(それだけですべてがみえるはずなのに)(それだけであなたはそこにいるのに)なにかがあるという確信(それは暴力だよ)(ぼくのなかの永遠がすり減らされていく感触を、経験したことがないはずなのに知っている)(反射的にでることばも考え込んで生唾を飲んで喉の奥から絞り出したことばも同じだったときにどうなるかということ だれかがここにいる)(ぼくがあなたを選んだのです)(それは暴力だよ)なにかがあるという確信のままにあなたを削りとり続けたらまた最初のところに戻っている(あなたがいなくなったらかなしい)それを繰り返すということをあらわすもの、次こそはという期待、祈り……意思……憧れ……やわらかくてぷにぷにしたものが潰れながら通り過ぎる弾力性──ぼくを揺り動かすもの──(ぼくはそのなかにいるのだと気がつき、膜の破れたものはあなただと確信することができる)ぼうりょくせい──というサイレンの音(耳鳴りかもしれない)(引き伸ばされたあなたの声)三角波の音が濁流に変わる、それは窓として、鏡として、液晶として、扉として、詩として、海として、表情として、隠す手として(ぼくが、あなたを選んだんです)

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