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3月の読書記録

2月、河津桜が咲いてるなあと思っていたらもう4月。。。
今年は暖冬のはずですが、ソメイヨシノはまだ開花し始めたばかり。

ちょこちょこ読んでも、つい読みっぱなしになってしまう今日この頃。
備忘録として最近読んだ4冊を記しておきたいと思います。


くもをさがす 西 加奈子著

カナダで、がんになった。「私は弱い。徹底的に弱い」。でもーーあなたに、これを読んでほしいと思った。祈りと決意に満ちた著者初のノンフィクション。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。

河出書房新社HPより

闘病記的なエッセイだから、ちょっと身構えて読む。
…やけどしました。
熱々だった。
当たり前の日常がどんどん痛みや苦しみに浸食されていく姿はつらい。
でもそれ以上の熱量で、人間の愛や希望を描く西さんの姿は本当に熱い。
弱さと強さ、絶望と幸福、どちらも隣り合わせ。
現地の会話がすべて関西弁で書かれているのも、温かくてすてき。

すべての、白いものたち ハン・ガン著

アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。
おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。
文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。

河出書房新社HPより

西加奈子さんの「くもをさがす」の中で、ハン・ガン氏の本が引用されていて、気になって読む。
全体を通して感じるのは濃厚な死の気配。物悲しくて冷たい。
この雰囲気はどこかで…と思って考えていたら、梨木香歩さんの「丹生都比売」の雰囲気に似ている。
「丹生都比売」の草壁皇子の儚さは、著者が生まれる前に死んだ姉とふんわり重なる。

話は最初、著者の一人称として語られている。
しかし途中、物語を語る視点があやふやになり、なんだか居心地が悪い。
これはいったい誰の話?
著者はいずこへ?
土台がぐらぐらして、自分がどこを頼りにしていいか分からない。
その居心地の悪さこそ、著者が生まれてからずっと感じてきた思いなのだとしたら…なんて寂しいんだ。
死者を悼むような小説だった。

おばあさんになるなんて 神沢 利子 著

「くまの子ウーフ」は、どこから生まれてきたのか?自伝『流れのほとり』を書くきっかけは?創作活動のエピソードを織り交ぜながら、児童文学者はこれまでの人生の歩み、いまの老いの日々をはじめて語った。北の果てでの少女時代、初恋の人、夫の裏切り、75歳のひとり居の日々…。

晶文社HPより

子供が図書館で借りた「赤いそりにのったウーフ」が面白かった。
どんな人が書いてるのかなと思い、読んでみる。

…すごい人だった。

感受性豊かで多感な少女が歩んだ波乱万丈の人生。
夫の不貞や貧しさ、自身の病気、子育てなど、苦労が絶えない人生を語りながらも、その語り口はどこか少女のようだ。
心の中の柔らかく美しい部分を守ったまま、よくこの人生を歩んでこれたなあと思わずにいられない。

彼女の生まれ故郷である、樺太(サハリン)をグーグルで調べてみる。
極寒の冬。美しい花が咲き誇る春。
大自然の中思いっきり走り回る元気な女の子の目に、樺太の山や川、海、花、動物はどんな風に映ったのだろうか。
その経験は、どんな風に彼女を支えたのだろう。

神沢さんの作品をもっと読みたくなった。

さみしい夜にはペンを持て 古賀 史健著

うみのなか中学校に通うタコジローは、学校にも居場所がなく、自分のことが大嫌い。
ある日、不思議なヤドカリおじさんと出会ったタコジローはその日から、どんどん変わっていく…
・考えるとは「答え」を出そうとすること
・その作文、嘘が混じってない?
・みんなと一緒にいると、自分ではいられなくなる
・考えないのって、そんなに悪いこと?

ポプラ社HPより

夫に勧められて読む。
夫が読み終わった後
「日記、書こうかな?」と言い出して
「へ?なぜ?」となったが
自分が読み終わった後、まんまと日記帳を購入。
3週間ほど書いてみて、ヤドカリおじさんの言葉が身に染みている。

「思うこと」と「言うこと」の距離
「書くこと」は「考えること」

「書く」ことで、自分の中の「感情」や「思い」を見つめる。
心の中を整理する。
その作業は、大人の私にも必要だった。

主人公のタコジローがけなげでかわいい。
全然関係ないが、今年から小学校に入学するわが子がタコジローと重なってちょっと心配になる。


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