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第82回 マンション防災を考えよう

その他の災害発生の可能性と対策の開始について

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回、震の発生可能性について考えました。少しでも防災に興味のある方はほとんどが認識されているかと思いますが、この日本では地震災害の発生しない地域は無く、必ずやってくる災害ですので、そのための準備は必須です。

そして今回ですが、その他の災害発生の可能性について考えてみます。
日本では、様々な自然現象が災害として降りかかってきやすい環境があります。例えば地震発生後の津波。海に囲まれた島国である日本では、国の一部に沿岸部があるという状態ではなく国の周りがすべて海であることから、避けては通れない災害の一つです。地震発生の震源が海中であった場合は(特に海溝型地震)津波の発生可能性が高くなります。東南海トラフ巨大地震の発生を想定した沿岸部の対策が少しずつ進んでいますが、これもまだ十分ではありません。

また、その他の災害として台風とそれに伴う豪雨、暴風なども災害として危険性が高いものです。特に近年は地球温暖化の影響か、台風の通過コースが変化してきており、日本列島を直撃するケースも増えているようです。加えて、線状降水帯の発生など台風とは違った豪雨が災害になってしまうケースもあり、河川氾濫や内水氾濫などによる洪水、水災害も要注意です。(豪雨などの水災害に関連して、土砂災害も危険性があります。これは山を切り崩した場所に建設されている建物だけではなく、河川上流からの土石流なども含めて、多くの地域で危険性があります。)
さらに近年では雷や竜巻の発生なども生活環境を破壊する危険な災害として認識され、警戒がされるようになってきました。

このような自然現象による災害も日本全国どこでも発生する可能性があり、やはり注意が必要です。実は、このような自然現象の災害だけが災害ではありません。それは、「火災」です。
この火災も「急に発生する」災害の一つです。特にマンションでは火災発生の被害が他の住居に影響する可能性が高く、その範囲も広範に及びます。分譲マンションでは、区分所有者の共有資産であるマンション全体(共用部)の資産価値の棄損に直接つながってしまうので、これも大きな災害としてとらえられます。

では、その様々な災害に対する対策はどうすればよいのでしょうか。
一つ一つの災害に対する具体的な対処・対策はあります。例えば水災害に対しては、浸水の可能性を把握し、設備、躯体の浸水個所の予測診断を行って事前に塞いでおくことや、土嚢・止水板などを用意しておき、マイタイムラインに応じて設置するなどが可能です。
しかしながら、すべての災害に対しての分譲マンションの災害対策の基本と注意点は「すべてが合議、合意形成が必須である」ということだ。そのために、マンション居住者全体での危機意識の周知、浸透、共有と防災活動への理解を進めておくことが必要です。

その中で、防災委員会等の組織が必要な対策を具体的にまとめ、理解を得ておくことで災害発生時、またその前(台風の接近時など)からの協力体制が整い、実際の行動も円滑に進められるようになります。

前述の通り、災害はどこでも発生する可能性があり、また、すぐに発生してしまう可能性もあります。したがって、まだ災害に対する準備が始められていない、進められていないとことでは、すぐに始めていただければと思います。

発生してからでは遅いのです。しまった、やっておけばよかった。準備しておけばもっと楽だったのに。と思うくらいなら、準備を始めましょう。
ぜひ、周りの方も巻き込んで進めていただけますようお願いいたします。

今日はここまでです。
次回、その他の災害についても考えたうえで、マンションではどのような対策をすべきか、何から始めるのか、なども考えていきたいと思います。
またよろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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