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第74回 マンション防災を考えよう

マンション防災 火山の噴火による災害2

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回は、前回から続いて火山の噴火に関する災害について考えていきます。
火山が噴火した場合に考えられる災害として、首相官邸のHPでは、大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流、溶岩流、小さな噴石・火山灰、火山ガス等が挙げられています。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/funka.html

この中には、お住いの地域が火山に近いところの場合にはいくつもの備え、避難の準備をしなければいけません。噴石が飛んできた場合には普通の住戸ではひとたまりもないですし、直接の落下点にならなくても、火災の発生によりその地域の一定の範囲で災害になってしまいます。また溶岩流の通り道と想定される地域、冬季には雪の融雪を伴う泥流の危険性が高まります。したがって、事前に避難の時期、方法などを気象庁の出す警報や地元自治体が出す避難情報なども考慮しながら、行動を決めておき、速やかな避難をすることなどの対応が必要です。

これとは別に、火山の所在地(火口)から距離のあるところではどうでしょうか。例えば富士山(活火山です。)の噴火に対して、関東地方の方は安心でしょうか。
答えはNOです。火山噴火による火山灰の噴出は、西から東に向かって風に乗り、広範囲にわたって降り注ぎます。現在、1707年の宝永噴火と同規模の噴火が起きた場合の降灰予想では、神奈川県と東京都の全体、埼玉県の南部、千葉県は調子方面を除いて房総半島をほぼ覆ってしまうほどの範囲が予測されています。もちろん伊豆半島北部を除く静岡県、山梨県の甲府を含む南東部を中心とした大きな範囲も同様です。
それだけ噴火の影響というのは広範囲に及ぶということです。大規模な地震も被害の範囲は広くなりますが、それと同様かそれ以上の範囲に及ぶ可能性があります。そういう意味では、台風に伴う大雨の被害などよりも気を付けなければいけない部分もあります。

さてマンションでの考えられる被害と注意点ですが、まず大きな噴石が飛来する範囲に建設されたマンションでは、一戸建てよりはマンションは建物に強度がありますが、それでも安心はできません。また、溶岩流などに対してはいかにRC造り(鉄筋コンクリート造り)だとしても避難が必要です。
ましてや火山の噴火は地震と同様に突然発生する可能性もありますので、急な避難の必要性を考えなければいけません。

それと火山灰の被害ですが、これが一番厄介かもしれません。まず人体に対する被害について、火山灰は溶岩が細かく砕けた物ですので、目や肺に入ると傷つけてしまいます。コンタクトレンズをつけず、ゴーグルと防塵マスクで守る必要があります。ほぼアスベストと同様の対策が必要です。
またその他の被害ですが、細かい火山灰が精密機械などに入り込んで故障する可能性をはじめ、マンションですと水道管、下水の詰まりや機械室の故障、電線や機器への影響委夜停電なども考えられます。個人でもPCなど気を付けなければいけません。
火山灰が積もるとスリップを起こす、視界が悪くなるなどで事故を起こす、エンジンルームに入ってしまうことで自動車の運転が困難になるなどの影響も考えられます。

このように、火山の噴火は近い場所、遠い場所のそれぞれで災害になる可能性が高い、非常に気を付けなければならない気象現象ですので、よく準備をしておきましょう。

ということで、今回はここまでです。次回は、災害の中でもあまり災害として認識されていないマンションの火災について考えてみたいと思います。
またよろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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