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第73回 マンション防災を考えよう

マンション防災 火山の噴火による災害

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回は、火山の噴火を含めた災害について考えてみましょう。
先日、山梨県のあるマンションで防災セミナーを開催した際に、事前に居住者の方の心配事を確認したところ、「富士山が噴火した際の災害に対する備えについて」が多く挙げられていたので、このことを少し考えます。

火山の噴火にかかわる災害についてはマンションというものが特別に危険であるということではありません。戸建て、集合住宅、木造、RC、SRCにかかわらず災害としては降りかかってくるものですが、その対策についてはマンションならではのものが必要になる部分があります。

さてその火山の噴火ですが、そもそもこの日本で火山の噴火による災害にある可能性はあるのでしょうか。日本には活火山と言われるものが111もあります。これは気象庁が事務局を務める火山噴火予知連絡会が、「過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」として定義した火山です。このあたりは防災士を取得された方は研修資料で勉強されたと思います。
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/katsukazan_toha/katsukazan_toha.html

この活火山は気象庁がその状況を監視していて、「全国の活火山の火山の状況に関する解説資料」が毎月発表されています。その中では噴火警戒レベルというものも同時に発表されています。
この噴火警戒レベルというのは、レベル1~5の段階で、以下のそれぞれの内容になっています。
(火山に合わせて警報等の名称や対象範囲の表現が微妙に違う場合があります。以下は「桜島」の場合。)
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/level/img/level_506_2.png

【レベル1】 活火山であることに留意 ⇒噴火予報
対象範囲:火口内等
火山活動は静穏。火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出等が見られる(この範囲に入った場合には生命に危機が及ぶ)。
【レベル2】 火口周辺規制 ⇒噴火警報(火口周辺)又は火口周辺警報
対象範囲:火口周辺
火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危機が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。
【レベル3】 入山規制 ⇒噴火警報(火口周辺)又は火口周辺警報
対象範囲:火口から居住地域の近くまで
居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危機が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。
【レベル4】 高齢者等避難 ⇒噴火警報(居住地域)又は噴火警報
対象範囲:居住地域及びそれより火口側
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が予想される(可能性が高まってきている)。
【レベル5】 避難 ⇒ 噴火警報(居住地域)又は噴火警報
対象範囲:居住地域及びそれより火口側
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある。

現在(令和6年4月8日14時現在の発表)、レベル3に桜島、西之島、レベル2に浅間山、阿蘇山、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島、硫黄島が挙げられています。
https://tenki.jp/bousai/volcano/900/information/2024-04-08-16-00-00.html

この火山以外に全国に活火山は存在するので、噴火による災害は、日本に住んでいる限り忘れてはならない災害なのです。
また、火山の噴火というのは地震活動と密接な関係性があり、例えば歴史上では1707年10月28日に発生した南海トラフ巨大地震「宝永地震」の49日後、12月16日に富士山が噴火したことなど、大地震により地殻が刺激されたことにより火山活動が活発化することも指摘されています。

ということで、今回はここまでです。次回は、実際に噴火が発生したらどのような災害になるか、マンションでは、ということを考えたいと思います。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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