元気がないからお肉を食べた

恋人に振られてからというもの、全く元気がなかった。

振られた当日や翌日は本当に食欲がなく、いくら時間が経ってもお腹が空かなかった。

友人に振られたということを話すと、まずはうまい飯でも食えと言われるのだが、そもそもおいしいものってなんだ?、私は何を食べたいんだ?ということが続いた。


3日経ってもそんな状態だったので、友人から次のように言われた。

とりあえずスーパーででかいステーキ肉を買ってこい。そしてそれを食え。

言われた時にはもう夜遅くだったので、じゃあの授業終わりに明日買いに行くよ、と言ってその日の会話は終わった。


翌日、授業終わりに近くのスーパーに寄り、約束通りステーキ肉を買うことにした。

だけど、その時はまだ食欲がなかった。だから、安い肉を買っても食えないだろうと思って、思い切って高いお肉をかった。

100gで約1000円するお肉を200g分買った。シャトーブリアンと書かれているその言葉に惹かれたものだった。

家に帰ってからすぐはやはり食欲がなく、しばらくは冷蔵庫で眠らせていた。

夜になってやっと、少し食べれるかも?という状態になり、お肉を焼くことにした。


せっかくの高いお肉だったけど、おいしく焼けなかったら間違いなく残すような精神状態だったので、おいしいステーキの焼き方を調べた。

まず、冷蔵庫から取り出して室温で10分ほど放置。この間お肉を眺めていた。

おいしそうかもと思えた。

そして、塩コショウをふり、弱火でじっくりと焼いた。

20〜30分かけて焼いて、そのあとはアルミホイルで包んで寝かせた。

余熱で10分くらい放置したあと、包丁で切って、炊き立てのご飯と一緒にお肉を食べた。

とてもおいしかった。

塩味が効いていて、柔らかく焼けていた。白飯とよくあっていた。



あんなに元気がなかったのに、おいしいと思えるものがあったということがわかってなんだか元気が出てきた。

恋人からは振られてしまったけれど、人生まだまだ生きていけると思えた。


お肉を食べてやっと少し元気が出てきた夜だった。

本を読んだり、舞台や演劇の鑑賞をしたり、ちょっとした旅行をしたりして、刺激を受けていきたいです。