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怪談No.11 シャーク

大学の後輩から本田(仮)から聞いた話であり、ある意味ショッキングな内容の話。


本田がまだ小学生だった頃、クラスメイトにシャークというあだ名の男の子がいたそうです。

シャークといえば日本語でサメ。

だからシャークなんてあだ名がつくなんて獰猛なガキ大将だったんだろうと僕は想像したが全然違った。

本田曰く、シャークは小学5年生のときの転校生で、転校した初めの頃は少しいじめられていたらしい。

理由はシャークが過剰歯という病気で通常の人間が生える歯の数以上の歯が生えていて、歯並びも形も歪で気味が悪いと思われていたからだそうだ。

僕は(なるほど、歯が多いからシャークだったのか)と思ったが、またもや予想を外すこととなった。

シャークがシャークと呼ばれたのは見た目だけが理由ではなく、ある事件がきっかけだったのだ。

休み時間にドッチボールをしていたところ、シャークの顔面にボールが直撃して歯がとれたそうだ。

シャークを心配したクラスメイトがシャークの様子を確認したが、取れた歯はあるのにシャークの口には歯が取れた形跡はなかった。

みんな小学生だったから「一瞬で歯が生え変わった!」と思い込みサメみたいだと騒いだ結果、シャークはシャークと呼ばれるようになったのだ。

シャークと呼ばれるようになってからはシャークはアイデンティティを確立したのかあまりいじめられてなくなった。

しかしある日シャークの歯がボロボロになっていた。

あんなに多かったシャークの歯が今では10本ほどしか生えていなかった。

クラスのみんなはシャークが大事故に遭ったと思ったが違った。シャークはただ歯医者に行っただけだと言う。

どういうことかと言うと、今までクラスのみんなが見ていたシャークの歯の正体が歯石だったのだ…

通常歯石は歯の汚れが硬い固体となって歯と歯茎の間に付着するものだが、それを長年放置していると歯石は歯と同じくらいの大きさなってしまう。

そんなわけないだろと思う人は「歯石除去」とYouTubeで検索して欲しい。常識が覆るはず。

話を戻すとシャークは歯医者にも行かず歯も磨かずだったため。歯石が成長し続けていた。

やっとシャークが歯医者行ったが、歯石除去された結果ほとんどの歯が虫歯になっておりその全てを抜く羽目になったそうだ。

アイデンティティだった殆どの歯を失った上に歯がないせいでうまく話せなくなったシャークを皆憐れんだそうだ。

みんなはシャークが可哀想でどう接していいかもわからなくなり、自然とシャークを無視するようになってしまったらしい。

ちなみにあの日ドッチボールで取れた歯の正体は歯石だった。予想された方もいるかもしれないが。

ちなみに本田は取れた歯石を喜んで触ってしまったらしい。



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