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怪談No.17 霊感がついた理由

僕の大学時代のヨッ友(以下、森本(仮)とする)から聞いた話。


森本は心霊とか超常現象に興味がある奴。

そんな森本になんと霊感の強い女の人と知り合える機会があった。

その女の人は川西(仮)さんといい、森本と同じバイト先の同僚だった。

川西さんは霊感が強いのがわかったのはバイト先のコンビニでのある霊現象がきっかけだった。


コンビニでは監視カメラには映るが実際に見ることができない女性客がいて、従業員全員が怖がっていた。

まあ幽霊だろう。

だが川西さんだけがその女性を見ることが出来るし、なんなら話しかけることも出来たからその女性の霊を追い出してみせたのだった!

この一件により川西さんの霊感が凄いことが周知されることとなった。


森本は川西さんに「どうして霊感がついたのか?」と興味本位で聞いてみたところ、川西さんはすごく嫌な顔をしたあと笑ってスルーした。

森本は不思議なことにどうしても霊感がついたわけが知りたくて、川西さんと仲良くしてそのあと聞き出そうと考えた。

そしてようやく森本は川西さんとお付き合いするほどになったのだった。

森本は川西さんと付き合って3か月たったあたりでようやく「どうして霊感がついたのか?」と同じ質問をした。

するとまた川西さんは嫌な顔をしたが、今度は硬そうな口を開けるように話し始めた。

川西さん「母親のせい」

森本は遺伝か何か?と質問したがどうやら違うものだった。


川西さんは母子家庭で育っていた。

母親は忙しさのあまり川西さんにあまり構わなかったそうだ。

幼少時の川西さんは自宅にある電源のついていない真っ黒なテレビ画面に見たことのない女の子が映っていたのを見て母に泣きついたのだ。

母は忙しさのあまり「それくらい誰にでもある。」と雑に答えたそうだ。

今思えば母は「あるはずがないものが見えることは誰にでもあるけど、それは気のせいだ」という意味で言ったのだと思うが、川西さんは「見たことのない女の子なんて誰にだって見える」と母が言っていると勘違いしてしまったらしい。

その後も真っ暗なテレビの画面に見たことのない女の子が映り続けていた。

幼い川西さんはただその存在に怯えるしかなかった。

しかし今度はその見たことのない女の子が川西さんに「名前は?名前は?」と言って話しかけてきた。

川西さんは怖くてまた母に泣きついたが、また同じように「それくらい誰にでもある。」と雑に答えたそうだ。

川西さんは「もう誰も助けてくれない、誰に頼っても意味がない」と思うようになってどんどん暗い性格になっていった。

そんな性格のせいか川西さんは小学校・中学校でいじめにあっていた。

また川西さんが中学生になったときも見たことのない女の子が映り続けていて、友達もいない川西さんはその女の子と話をするようになっていた。

ある日母が川西さんが一人で話しているのを見かけて「○○(川西さんの下の名前)!しっかりしなさい!!」と川西さんの顔をはたいた。

川西さんがただ女の子と話しているだけと説明し、「昔からお母さんも誰にだってあることだからと言っていたじゃん」なんてことも説明した。

だが母親は「そんなわけないでしょう、あんたオカシイんじゃない?」とまるで人間とは別の生き物を見るような目で川西さんを見たそうだ。


川西さんは茫然とした。

見たことのない女の子は本当は見えるはずのない存在だったことを初めて知った。

母親に長い間適当にあしらわれた結果、今強く突き放されたと。

もし幼いときに母親が「そんな女の子なんていない!」とはっきり言ってくれたらもう少しましな人生を過ごせたかもしれないと。


その日から川西さんは見たことのない女の子「お母さんを殺して!お母さんを殺して!」と何度も頼んだ。

結果、川西さんが中学3年生の秋ごろ、母親は自宅のリビングで死んでいた。

死因は窒息死だった。

布巾をありえないほど縮めこんだものがのどに詰まっていたという。

母親が死んだ日から川西さんは母方の祖父母の家に行った。

そして川西さんの人生は明るくなった。

高校ではいじめにあわなくなったし、元から勉強も出来たので大学にも合格し、今は華の女子大生!

そして見たことのない女の子は今でも川西さんの近くにいるとのこと。


以上の話を僕は大学の食堂で森本から聞いた。

川西さんの霊感の発端は嫌な過去と密接に繋がっていたのだった。

森本が話しているとき、僕はふとよそ見してテーブルにある森本のスマホに目を向けた。

すると真っ黒の画面に小さい女の子がずっと映っていた。


この日以来森本とは一緒に食事をすることはなかった。

森本はまだ川西さんと付き合っているのだろうか?





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