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映画「生きてるだけで、愛。」うつ病の現実。

過眠症で引きこもり、無職の趣里演じる寧子。パートナーの菅田将暉演じるゴシップ編集者の津奈木に当たり散らして、自分の感情がコントロールできない。仕事も人間関係もうまく続けていけない。

「私は私と別れられない」自分を持て余している峯子は、泣きながら津奈木に訴える。自分でもどうしたらこの状況から改善できるのか、ちゃんとした人間になれるのかがわからないのだ。

うつ病は、すごく難しい病気だ。

まず、診断がすごく難しい。心療内科に行っても50項目ぐらいのアンケートのようなものに答えて、その答えを持って、いきなり、「重度のうつ病です。薬を出しますから、それを飲んで様子を見ましょう。」とか言われる。

もちろん、心療内科に行くまでも、自分の中ではものすごい葛藤がある。

毎日眠れない、TVが見れない、休みの日に外出しないでずっとベットにいる。音がダメだったり、光がダメだったりする。まわりの人がみんな自分のことをうっとおしいと思っているような気がして不安になる。苦しい。つらい。泣きたくなる。

仕事が続けていけないように感じて、将来が不安になる。今まで大好きだったペットをいじめたくなる。

どうしたらいいのか、どうしたら抜け出せるのか、なんで突然こんな風に自分の気持ちが落ち込んで、コントロールできなくなるのか、全くわからないのにつらいのだ。

だんだん、まわりの人も変だと思う。幸いにして、自分のことを親身になって心配してくれる人がいれば、「病院へ行きなよ」と言われて、しぶしぶ行ってみる。

そこで、心療内科の先生に今の自分の症状を伝えると

「それは、重度のうつ病ですね。」とか、あっさり言われる。

私が最初に行った心療内科の先生からは

「今すぐ、仕事を休みなさい。1ヶ月から2ヶ月休んでこの薬を飲んでください。薬を飲んでいる間は、頭がボーっとしますから、仕事は難しいです。」と言われた。

強い抗うつ剤と睡眠導入剤、3、4種類の薬をいきなり処方され、私って本当にうつ病なんだなと落ち込んで、よけいに動けなくなる。

薬を飲んだ次の日は、脳が動かなくてまるですべてのことに膜がかかっているみたいに感じで、もわーーっとした感じになる。(人によって感じ方は違うと思うが)

私の場合は、本当に親身になってくれる人がまわりにいたので、その様子を伝えたら、「抗うつ剤はとりあえず、飲むのはやめて、睡眠導入剤だけにして、ゆっくり寝なよ。」と言われた。

病院も先生が少し怖かったこともあって、別の病院に変えてみた。

次に行った心療内科の先生は、とてもやさしい先生だった。

薬は飲みたかったら処方するけれど、最初から強い薬を飲むんじゃなくて、まず、ゆっくり休むことから始めましょう。と言ってくれた。

「今、悩んでいることや不安に思っていることをなんでもいいから話して。」

と言われて、いろんな話をした。仕事のこと、上司のこと、人間関係のこと、まったく自分のことを知らない人に話を聞いてもらう事が、どれだけ癒されるか初めてわかった。

友達とか、親とか、同僚とかには言えない悩みを知らない赤の他人だったら言えるのだ。相手が、私の話を聞いてくれる人なら。

占いに行って相談するのも、こういう事なのかなあと思った。

私は、その先生に話を聞いてもらえて、睡眠導入剤だけ飲んで、ゆっくり眠るようにして、だんだんと元気になっていった。(1年近くかかったけど)

もちろん、急に落ち込んで、休みの日に家から一歩も出れなくなったりする事もたまにあるけど、自分が嫌いになって、どうしようもなく悲しくて、生きていられなくなるような気持ちはなくなった。

もし、最初に行った病院でもらった薬をずっと飲み続けていたら、、、。

もし、病院に行かないで、ずっと家の中に引きこもってしまっていたら、、、。

うつ病なんて、自分には絶対に関係ないことって、20代や30代の時には思っていたけど、誰でもなっちゃう病気なんだと思った。

うつ病の現実、それは、疲れすぎた身体と心の悲鳴なんだと思う。

どんどん抱えていった心の疲労は、見知らぬ誰かの言葉で癒されることもある。

同じように苦しんでいる誰かに この言葉が少しでも届いてくれたらと願う。



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