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目の前の話はせいぜい2割

よく考えてみると、誰かと話をしているときに、目の前にある現実を話題にするよりも、過去や未来、そこにいない人や、そこにないものについて話をすることの方が多い。

「昨日こんなことがあった」「来年はここに行こうと思う」「あの人はこんなことをした」「そこに行けばこんなものがある」

そんなことをいつもいつも話している。

「今食べているものは美味しい」「あなたのきている服は似合っている」「この店を気に入った」などという話は、ほんのわずかだ。たとえそんな話をしていても、いつの間にかまた違う話をしている。

感覚的に言えば、目の前にあることについて話をするのはせいぜい2割くらいだろう。

あとの8割は、過去や未来、そこにいない人や、そこではない場所の話をしている。

そうであるならば、人間はほとんどの場合、頭の中で想像した、いわば現実ではないバーチャルなことを話していることになる。もちろん、話をしているときにはそのことを考えているから、人間はほとんどの場合、目の前の現実ではないバーチャルなことを考えている、とも言える。

そしてスマホがそれに拍車をかける。

スマホの中の情報は全てバーチャルだ。ずっとスマホを眺めていてふと顔を上げると、「自分はこんなところにいたのだ」と感じることがある。それは、目の前の現実ではなくバーチャルな世界に入っていたからだ。

それが、起きている時間のもし8割を占めるのであれば、人生のほとんどはバーチャルな世界で生きていることにもなるだろう。

バーチャルな世界は頭の中やスマホの中にあるとすれば、人生の8割は頭の中で想像した世界だ。

だったら、話している内容を、考えることや想像することを変えれば、人生も変わるだろう。話す内容や考えや想像は、きっと自分でコントロールすることが可能だから、人生も自分で変えることが可能だとも言える。

まあ、今、目の前にある現実も、五感を通して脳が電気信号を解析しているだけだとすると、それが本当のリアルかどうかもわからない。

そこまで行くと映画のマトリックスやインセプションと変わらない話になるけれど、起きている間ずっとリアルな世界を見ているわけではないことは確かだろう。

今自分は、何を話し、何を考え、何を想像し、何を見て、何を感じているのか。そしてそれは本当にリアルなものなのか。

そんなことをたまに考えてみるのもいいのかもしれない。


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