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なにが「20時にはオフィスに誰もいないことも!」なのか

正社員の求人情報を閲覧した経験のある方にならわかっていただけると確信しているが、 日本の求人情報には、"平均残業時間"なる項目がある場合が多い。

だからといって長時間労働先進国の日本とて、全ての企業に残業時間の記載があるわけではなく、結構「なし」と記載しているところも探せばある。

なし、という記載が必ずしも本当とは限らないのはそうだが、現に自分はほぼ全く残業のない企業にこれまで勤めた経験があるので、
長時間労働が当たり前の日本でも本当に残業のない企業はあるということを身をもって知っている。

まあ、平均残業時間の項目にハッキリと"なし"と書いてある企業は決して多数派ではなく、
"20〜30時間ぐらいの残業あり"と記載をしている企業が一般的なのではないだろうか。

自分は残業というものを親の仇どころか推しメンの仇ぐらい憎んでいて、残業なんてものを発生させている企業は、ハッキリ申し上げて社会悪であるとまで思っている。

だが、現実世界の仕事というものは、人間という不確実性の生き物が運用している以上、どうしても計算外の事態が度々起こるため、
そうした誤差への対応として、日に数時間の残業が発生してしまうのは仕方ない面がある、ということも理解はしている。

だが、残業に絡む話で、一つだけ絶対に許せないことがある。

それは、求人情報ページに「アフターファイブを楽しめます」とか、「ワークライフバランスを重視しています」とか書いている企業のアピール文章に、

しばしば「残業は少なくプライベートを充実させられます!20時にはオフィスに誰もいないことも!」などと記載があることだ。 なにが「20時にはオフィスに誰もいないことも!」か。

これは、その会社の始業時間が17時というわけではない。
だとしたら確かに、「17時にきて20時にはみんな帰っているだと!?」となり、
勤務開始からたった3時間だけ働き、「20時にはもうオフィスに誰もいないことも!」という文脈が、成立する。

しかし、そんな「20時にはオフィスに誰もいないことも!」などと記載する求人も、大抵は9時か10時の勤務開始としている。

だとしたら、20時はオフィスに誰もいなくて当然なのではないだろうか。

なぜ9時〜17時の通常勤務時間超えた、3時間の労働が発生しているのにも関わらず、
「20時には誰もオフィスにないことも!」などと、まるで奇跡が起こったかのように掲げてしまうのか。

これは、"20時にはまだほとんどの人がオフィスに残っていることが当然"という価値観からの書き方に他ならない。

本来であれば、
「20時ぐらいまでは割と残業が発生してしまいます。残業前提になってしまっていて大変申し訳ないのですが、残業した分のお金はきちんと払いますのでご了承ください」
とでも文言を変えるべきだろう。

このロクでもなくやはりロクでもない世界の目を瞑ってはいけない部分を目を見開いて見た結果を記してゆきます。