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日本人の死生観❹ー古層に眠る魂ー

こんにちは。橘吉次たちばなきちじです。
日本人の死生観を考えるシリーズ第4弾は、広井良典氏の「日本人の死生観三層構造説」における古層を取り上げます。

私たち日本人の心の奥に眠る死生観です。

あっそうだ。

死生観というと「死」ばっかり注目されがちだけど、「生死観」でもありますからね。
生を裏付けるのが「死」なんで、ちゃんと「生」も考えていきます!
第三話はこちら



反転する生死ー人生儀礼の対比ー


さて、古層によこたわる日本古来の死生観について、詳しくご説明申し上げてまいりましょう。
この古層を更に

  • 最古層 =沖縄やアイヌに残る縄文太古の層

  • 新古層 =大陸民族の儒教的思想の影響を受けている弥生層

に分けることができそうなのですが、これはあまりに学術的すぎるし吉次の知識も追いつかないので、ひとまとまりにしてご説明いたしますね。

この古層には、こちら(生者の世界)とあちら(死者の世界)は、完全な反転相似形になっているという考え方があるんですよ。
つまり、こちらの世界で「右」はあちらの世界では「左」という感じ。
こちらの「死」はあちらでは「生」です。

だから、今でも
生者の着物の合わせ方=左上前
死者の着物の合わせ方=右上前
という風習が残っているいるのです。

いち瑠HPより

経帷子などの死装束は右上前にして着付けますよね。

さらに、今でも残る人生儀礼を見てみましょう。
生者の儀礼と死者の儀礼は、完全な対称関係になっています。

上部=生者の儀礼 下部=死者の儀礼

AとCは対象関係なんで、

  • お七夜 ⇔ 初七日

  • お宮参り ⇔ 四十九日

  • お食い初め ⇔ 百ヶ日

  • 初誕生日 ⇔ 一周忌

  • 七五三詣 ⇔ 三回忌・七回忌

  • 十三詣 ⇔ 十三回忌

  • 成人結婚 ⇔ 弔い上げ

と、ピタリと反対の時に、それぞれの儀礼があるのです。
生者の儀礼が神道で、死者の儀礼が仏教になっているところが、日本の面白いところですよねー。

で、弔い上げとなった死者はその後どうなるのか?というと、
個人の名前を無くして
(…っていうか、もう名前を憶えている人が生きていないから…)
ご先祖様になっていくのです。

今はもう儀礼が形式化しちゃって、その思想が忘れられておりますが、これらの儀礼は恐ろしいほど古い、原始日本人の死生観に基づくものなんですよねー。


生命循環の思想


何故、あの世とこの世が、完全反転対称になっているのか?というと、
そこには命は循環するという、非常にシンプルで理にかなった思想があるからです。

秋に葉を落とした樹木も、春になると新芽がでてきますよね。
これと全く同じ。
死んだ人は、あちらの世界に往って、またこちらの世界に生まれてくるのです。
だから、赤ちゃんは祖先の生まれ変わりなんですよ。
ってか、この私自身、あなたも、かつてこの日本列島に生きて死んだ先祖の生まれ変わりなんです。

この世の春=あの世の冬 反転するからね

だから、私たちはこの世に生まれて、
青春→朱夏しゅか→白秋→玄冬げんとう を過ごして死にますが、死はあちらの世界の誕生です。
で、あちらの世界でまた春(この世の冬)夏(この世の秋)秋(この世の夏)冬(この世の春)を過ごして、こちらの世界に生まれてくるわけ。

イメージ図にするとこーなります。

幽世を常世(とこよ)とも言います!

この無限マークみたいな死生観が、日本人の古層に眠る「生と死」なんですね。
生と死は隣り合わせというか、ほぼ重なっているというか…。
死の世界は、はるか遠くの西方浄土にあるのでも、
はるか上空の天国や、地下深い地獄にあるのでもない。
お隣さんなんですよ。

ひょいと跨げば
「ただいまー」「お帰りー」という感覚です。

で、この生死の接点がとっても大事で神聖なものなんで、神話や民話として様々な物語が語られたし、風習や儀式がいっぱい残っているんですよね。


タマ(魂)は震えて増える


さて、この無限マークをぐるぐる循環してめぐるもの。
これが、タマです。

タマは「魂」とか「霊」という漢字が当てはめられました。

いのちの根源です。

だから、私たち日本人は「たましい」を何となくフワフワ軽い丸いものだというイメージを持っています。

この魂を入れる器、からが肉体なんで、
魂が抜けたカラを「抜け殻」とか「亡骸なきがら」と言いますね。

このタマ。
すると、活性化して増えるんですよ。

神社に鈴はつきものです。

参拝するときに鈴鳴らしますし、巫女舞でも鈴を振る、鈴祓すずはらいっていうものもあります。
お守りにも鈴がついている。

これタマです。

御神輿も揺すって振りますよね。
これ神様の御霊みたまを活性化して増やしているのです。

こうやって生者がこちらの世界でタマを一所懸命振ると、タマは増えます。
このタマが増える季節が、冬です。
「タマがゆ」季節という意味なんです。

ね。
だから、あちらの世界の春!いのちがバンバン増えている季節が、こちらの季節の冬なんですよ。

と、いう訳で「日本人の死生観」第4話は古層の死生観をちょっと詳しく見てみました。
いかがでしたでしょうか?
腑に落ちること多かったんじゃなないかなー?
そうだと嬉しいなぁ…

次回は、この古層の思想でとっても大事な「生と死の接点」について、お話したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

では、また。

第五話はこちら


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