FUKAIPRODUCE羽衣 稽古場レポート④&深井順子さんインタビュー

『女装、男装、冬支度』は、2014年初演のFUKAIPRODUCE羽衣の代表作です。
降り続ける雪が印象的な、真冬の愛の“妙―ジカル”。
生と死、生そして性、それらすべてを丸ごと肯定するような、悲哀と歓びに満ちた人間讃歌を、有り余る熱量で歌い踊り、どうしようもなくみじめでちっぽけな人間たちを大きな愛で包み込みます。

こちらのnoteでは、稽古の模様を全五回に分けてレポートします。

☆本記事の後半では、FUKAIPRODUCE羽衣の主宰・深井順子さんへのインタビューを掲載しております!
ぜひご一読くださいませ。

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『女装、男装、冬支度』
7月11日(火)13:00~21:00(17:00より合流)

17:30~21:00
本番を10日後に控えたところで、この日は全シーンの総ざらい。
『女装、男装、冬支度』は12人の出演者が6つのペアに分かれ、それぞれのシーンを作っています。
今回は、各ペアのつくるシーンを簡単に紹介していきたいと思います。

・新部聖子さん&村田天翔さん

『女装、男装、冬支度』の開幕を告げるエンジン音。
有無を言わさぬエネルギーが縦横無尽に飛び交い、爆散とともに転げ落ちるように劇空間へと誘われます。
避ける間もなく降りかかる熱量を全身に浴び、唯一無二の演劇が爆速のスタートをかまします。

・浅川千絵さん&平井寛人さん

欲望をむき出しにほとばしる鮮烈で強烈なインパクトが、いともたやすく観客を異界へと引きずり込みます。
ファンキーでモンキー、ジャンキーでクレイジー。
奇妙で愉快な二人の掛け合いは、“妙-ジカル”の濁流へと飲み込まれていきます。

・日髙啓介さん&能島瑞穂さん

茶目っけたっぷりのかわいらしさに思わず胸がときめき、二人の発する一言一言が心の奥底を優しくくすぐります。
色褪せることのない普遍の尊さはけがれなく輝き、愛おしさと微笑ましさで何度も胸がいっぱいになります。

・深井順子さん&岡本陽介さん

えげつない速度とパワーで乱れ飛ぶ雪玉に、ちょっぴりの甘酸っぱさを隠すことのいじらしさ。
迫りくる怒涛の言葉に圧倒されるうち、最後には誰もが知っている(かもしれない)ときめきに包まれます。

・鯉和鮎美さん&田島冴香さん

再演にあたって書き下ろされた新曲&新シーン!
既存のシーンとは一風変わったアクセントをまぶしつつ、思わずドキッとするような核心に迫る台詞が散りばめられているのは、再演ならではの視点で書かれたからなのかもしれません。
変幻自在に操られる声色は、圧倒的な耳心地の良さで鼓膜を温めるように美しく響き、降り続ける雪の冬景色に新たな彩りを加えます。

・森下亮さん&牧迫海香さん

FUKAIPRODUCE羽衣の持つリリカルな部分とエロティックな部分が、せめぎ合いつつも見事なバランスで共存し、他のどの劇団でも観ることのできない独特の味わいを生成します。
一見交わりあうことのない二つの要素がやがて溶けあっていくさまは、どろっとした奇妙なカタルシスを生み出します。
前半から後半にかけての鮮烈な変化は必見。

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FUKAIPRODUCE羽衣の主宰・深井順子さんに『女装、男装、冬支度』についてのお話を伺いました。
『女装、男装、冬支度』をより深く楽しむためのインタビュー、ぜひご一読ください。

・『女装、男装、冬支度』はFUKAIPRODUCE羽衣にとってどのような位置づけの作品でしょうか?
 
糸井くんのシックなところが出たと感じました。今までは男は男、女は女、だったのがそれを反転することにより、男女が溶け合った公演になりそうです。
 
 
・2014年の初演時から、FUKAIPRODUCE羽衣は劇団としてどのような変化を遂げてきましたか?
 
もしかして、何も変わってないし、変わらないことをわたしは目指しています。
実際の年齢であったり、身体の衰え?年輪?は変化ではないと。 

FUKAIPRODUCE羽衣主宰・深井順子さん

・いまのFUKAIPRODUCE羽衣の描く『女装、男装、冬支度』は、初演と比べてどのような作品になりそうでしょうか?
 
はじめて参加のかたも含めて、全員が初演とは違う役をやることにより、客観性がうまれるのでは、と。
 
 
・ご自身の考える、『女装、男装、冬支度』の推しポイントを教えてください。

これはなんといっても、青年団の能島瑞穂さんに出ていただいたことです。
のじーと(いつも呼んでます。最初深井が呼んだらめっちゃ喜んでくれました)LINEでやりとりしてたら、「今夜は彼とデートです。」から始まる彼女のセリフを順ちゃんなら(深井は順子といいます)どこにむけて、だれにむけてやる?と聞かれました。
果物夜曲という演目があり、深井の、「今夜は何にしようかな」というセリフにいつもなにか飛び越えたものを感じるから、と言われ、わたしはすぐに、お母さん、と答えました。そしたらのじーが、そうか、だから順ちゃんはなにかを越えて表現できるのだね、と。憧れののじーにそう言われ恥ずかしくて身悶えたのですが、そんな質問をしてくれるのじーに今回出てもらうことによって、深井の舞台に対する、人に対する、ものがなにかもっと救いのあるものなのだ、とか、楽しいものなのだ、と気がつかせてくれています。
ので、今回の推しは、能島瑞穂さんです!

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次回のレポートは番外編として、キャストの皆さまへのインタビューを一挙公開します。
ぜひお楽しみに!

FUKAIPRODUCE羽衣第28回公演
『女装、男装、冬支度』

2023年7月21日(金)- 7月30日(日)
吉祥寺シアター

〇公演詳細
https://www.musashino.or.jp/k_theatre/1002050/1003231/1004908.html

(担当:小西力矢)

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