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眠れないあなたへ



 不眠とは、寝るための時間が十分あるのに、満足できる睡眠ではなく、昼間も眠気が残って仕事や家事、学業などに問題がでることをいいます。また、うつ症状のひとつのあらわれでもあり、辛い思いをされている方も多いように感じています。
 


 「眠りたいのに眠れないので布団の中にずっといる」と、寝床に長くいる方の話もよく耳にします。質の悪い睡眠になってしまってつらい思いをされているのですね。

 

 「眠れないけど、まだらくなので寝床にいる…」「眠れないので横になりながら携帯やスマホをしている…」、そんなこともありそうです。
 

 布団の中ににいるのに眠れない時間が増え、眠れないままイライラしたり、不安がつのったりすることはないでしょうか。

 不眠解消のために、参考にしていただければ嬉しいです。


~あなたの“いま”を知ってみましょう~ 
 

 不眠には、 「準備因子」 「誘発因子」 「維持因子」 の3つが関係しているといわれています。

 「準備因子」とは、もともと備わっている体質や性格、生活環境からくる不眠の原因です。もともと深く考えがちな人や、仕事で早番・遅番がある、明るくないと眠れない人と一緒に寝るなども「準備因子」の一つです。

 「誘発因子」とは、不眠の始まりに関係しています。「準備因子」に加え、さらに不眠を引き起こします。病状やケガなどの痛み、心理的ストレスやプレッシャー、子どもの世話や育児、新しく越してきた隣人が夜遅くまでうるさいなどの生活環境の変化も「誘発因子」になります。

 「維持因子」とは、上記の流れで一時的に不眠となったときに、その不眠を解消しようとして始めたその人の行動パターンのことです。
 「誘発因子」の多くは長期間同じ強度で続くことはありませんが、「誘発因子」が軽減しても、「維持因子」があるために不眠が続き、睡眠の質が悪くなってしまうことがあります。
 
 「維持因子」として、①寝床に長時間いること ②寝床での睡眠とは関係のない行動 という2つの因子があります。
 
①   寝床に長時間いること

  長時間寝床にいても、精神的な休息は得られないと考えられています。残念なことに睡眠の満足度も下がってしまいます。


②   寝床での睡眠とは関係ない行動

 「パブロフの犬」という条件付けのメカニズムを聞いたことはありませんか?私たち人間も動物である以上、条件付けは起こります。もし、寝床に入って、しばらく携帯やスマホ、読書をする癖がついたり、夜中に目覚めイライラしたり、悩んだりする癖がついてしまうと、寝床に入っただけで「携帯モード」「スマホモード」「読書モード」「イライラモード」「悩みモード」等となり、なかなか眠れなくなります。
 
 自分にとって「準備因子」「誘発因子」「維持因子」とは何かを、一度考えてくださいね。

 

~睡眠力を高めていくうえで~
 
 睡眠力を高めるには、上記の見つけた維持因子をやめていくことです。「寝床に長時間いること」のやめ方を睡眠制限法、「寝室での睡眠とは関係ない行動」のやめ方を刺激コントロール法といい、自分の不眠を、自分で治療(工夫)をしていくことにあります。
 

 よい睡眠を得るためには、睡眠に向かう力「睡眠力」を高めることが重要です。以下のことをふりかえってみて下さいね。
 
①   睡眠環境・条件付け
 睡眠力を高めるために、寝床に睡眠だけを結びつけていきしょう。
 
②   体が状態を元に戻そうとする力(“ホメオスターシス”といいます)
 疲れて調子が悪くなると元のよい状態に戻ろうとする能力が、すべての生き物に備わっています。私たちが起きているとき、睡眠力は少しずつたまってきます。
 
③   体内時計(“サーカディアン・リズム”といいます)
 ほぼ24時間サイクルの生物学的リズムが人には備わっています。就寝時間や起床時間をしょっちゅう変えたり、突然昼寝をしたりすれば、当然このリズムも崩れてしまいます。睡眠を改善するためには、なるべく決まった時間に寝て決まった時間に起きるようにしていきましょうね。
 
〇刺激コントロール法とは
 「寝床」と「睡眠」を強く結びつけて、寝床で横になったら自動的に眠くなるようにし、眠くならないときは、寝床で横にならないで疲れをため、眠りやすくする取り組みもしてくださいね。
 
①   寝床では、睡眠以外の行動(携帯・スマホ・読書・考えごと等)は避けます。
 
②  睡眠中に約15分以上目が覚めてしまったら、寝床や寝室を出ましょう(時計を見ないでだいたいでけっこうです)。
 
③   眠くなったときだけ寝床に戻りましょう。
 
 上記の②と③は必要に応じて繰り返します。不眠の人はそもそも、睡眠刺激(寝床、寝室、寝るべき時間など)が眠気や睡眠につながりづらくなっています。寝床や寝室と睡眠だけを結びつけるようにしましょう。さらに、目覚めたら早めに寝床を離れることで、体の疲れをため、「体が状態を元に戻そうとする力」、つまり睡眠力を高めることができます。
 夜中に目が覚めて寝床から出たあとに何かすることをいくつか決めておくと、寝床からでやすくなります。仕事や勉強など頭をつかうのはなるべく避け、また体温が上がると寝つきが悪くなるので、運動も避けます。強い光に当ったり、お菓子を食べたり、アルコールを飲んだりするのも避けたほうがいいでしょう。リラックスできることなら何でもいいと思います。


 
音楽を静かに聞いたり、好みの雑誌を読んだり、何か取り組んでいたことの続きをしていくのもいいでしょう。寒い冬は厚手の上着の用意や暖房も考えておきます。ただし、ソファや絨毯などで寝そべるのはやめておきたいところです
 

 夜中に目が覚めてしまっても時計を見ないようにします。夜更けに時計を見ても、不安になったり、焦ったりするだけです。起床時間だけアラームをセットしておけば、時計は見る必要がありません。壁掛け時計もはずし、携帯電話やスマホも近くに置かないようにしましょう。
 
〇睡眠制限法とは

 「体が状態を元に戻そうとする力」と「体内時計」の両方の要素から睡眠力を高めます。これによって寝つきと、睡眠維持の両方に効果があります。
 
睡眠のスケジュール
 
①   寝床の中にいてもよい時間を決める
 最低でも6時間は設定しましょう。
 
②   起床時間を決める
 とくに起きる時間が決まっていない人は、この時間に起きられるようになったらいいなという時間を決めましょう。
 
③   「床に入る時間」を設定する
 寝床に長く入っているというやり方では、睡眠はたいてい浅く、コマ切れになってしまいます。この時間設定こそ睡眠力を使う有効なやり方です。②から①を逆算して決められます。
 
 寝床に入る時間を遅らせると、疲れがたまって「体が状態を元に戻そうとする力」が利用できるようになります。その結果、睡眠が深く質の良いものにしていくことができます。「体内時計」のリズムに合わせて就寝時間になったら自然に眠くなるようになっていきます。
 
 
 次は睡眠力を高めるために以下の3つを意識していきましょう。
 
①   夜中に目覚めてしまった時に、事前にいくつかすることを用意して、過ごしてみましょう
また、「床に入る時間」までのすることを、同じように考えておきましょう
 
②   決まった時間に起きましょう
 朝の決まった時間に寝床から離れるように頑張ります。頑張っても寝床から出るようにしてください。条件付けと体内時計のことを考えて、平日・休日に関わらず、しばらくは同じ時間に起きることが必要です。誰しもが苦しむ山場ですが、カーテンを開け、座って陽光を浴びるのもおすすめです。
 
③   昼寝はしません
 昼寝は睡眠力を弱くします。昼寝をしなければ早く良い睡眠を取り戻すことができます。

 どうしても昼眠くてしかたがないという人は「ルール」を作れば昼寝をしても大丈夫です。
 
☆昼寝をしても1時間以内にとどめる(30分間がベストと言われています)。
 
☆昼間の早い時間にすること。少なくとも午後3時過ぎはずっと起きているようにします。
 
 昼寝をしたり、寝床に入っている時間が多くなったりすると、短期的にはらくになるかもしれませんが、悪い睡眠の習慣が続いてしまうので、長期的にみると睡眠力を損なうことになります。
 
 
 上記を参考にして、ご自身で試みて、もっと簡単に、もっと楽にできるようカスタマイズしてくださいね。


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