ワタシがひとりで出かけるワケ

温度差の激しい日が続いている。とはいってもコロナ到来前まで、わたしのクラブ活動になんら影響していなかった。踊りに行く時、気分、体調、天候、季節、気温、時間帯、地域、距離などには滅多に作用されなくなっていた。大抵、ひとりで繰り出していたのが日課。一番の理由は音楽を通して自分自身のオープン・マインドを開発するため。

同行した誰かの存在や、その意見に頼ることなく、知った仲間との先入観を持ち込まず、自分の可能性を探り当て、初体感する音楽に付随する初めての場所で、初対面の人と接する。そこが、自分に足らな過ぎる社会性、決断や交渉力を実践でこころみるコトができる絶好のチャンス。私が最も興奮する瞬間。


2018年の暮れ、フィラデルフィアへLCDサウンドシステムのライブを観に行った。少し早めに現地入りし、まずはジャーマンタウンへ向かった。理由はワタシと主人が大ファンであるジャズ ピアニスト、サン・ラの住んだ家を訪れるため。サン・ラ・アーケストラの現リーダー、マーシャル・アレンが移り住んでいるその聖地にたたずみ、玄関のドアにパステルグリーン調で描かれているエジプシャン女子の横顔が印象に残る神秘的な絵から発せられる宇宙エネルギーを一身に浴びた。

そこからバスと地下鉄を乗り継ぎ、『トロリー』という路面電車を降りて、日が落ちたデラウェア川に向かって歩いた。冷たい風を頬に感じながら、『フィルモア』という会場前の列に並んだ。主人のみやげに買ったフィラデルフィア名物『フィリー・チーズ・ステーキ・サンドイッチ』を持って入った。持ち物検査場で、白髪の係員に「ココ食べ物持ち込み禁止だけど、ワタシ、実はニューヨークから来ていて、みやげ用のフィリー・チーズがカバンの中に入っているのだけど見逃して〜。」とお願いし問題なく中に入れた。ステージ最前列の左手に、手すりに手をかけて立っていた人と人の間に空いているスペースを見つけ、つかさずそこへ歩いていき床にカバンを置いて陣取った。

私の右隣に立っている女子は、物販コーナーで購入したばかりの空の色のタイダイ染めTシャツを両手で持って広げ、嬉しそうにじーっと眺めていた。「私も同じのゲットしたヨ。それがベストTやったよネ。いろんな柄があったけど。」と言ったタイミングで状況は急展開した。

結論からいうと彼女とワタシは踊り狂って最高のライブを一緒に楽しんでいた。聞いてみれば、彼女もワタシのようにニューヨークからはるばる観に来ていたNYUの学生。それも今回のチケット購入にまつわる転売サイトのミスが私のケースとまったく同じモノで心強かった。そのうえ、この前夜にワタシが踊っていたのは偶然にも彼女のキャンパス内だったことを話した。そしてそのパーティーに出演していたモロッコの古典グナワバンドである『イノーブ・グナワ』の名前を出したら、これまた彼女のお気に入りのアーティストというではないか。彼女も数日前にブルックリンで観たばかりだと言うから、話に花が咲き乱れた。実に気持ちよい出会いに恵まれ、こんな偶然もあるんだとオモシロく感じていた。


そういえば、ニューヨークで開催された第60回グラミー賞でLCDサウンドシステムが、最優秀ダンス・レコーディング賞を獲得したことを後に知り、とても嬉しくなった。その祝いとして受賞曲である『トゥナイト』の動画をはじめに載せた。その曲の歌詞とここに書いていることの絡みが自分的には興味深い。


すこし話を戻して、ひとが観たコンサートをうらやみ、次回行く時は誘ってくれと言う人でさえもワタシにとっては微妙だ。ぶっちゃけめんどくさい。それに輪をかけるように、面と向かって鼻息を荒くし「アナタが日本で旅した全ての場所へ行きたいので、次回帰国する時には一緒に着いていく。」と普段からさほどの付き合いもない人に限ってこうくる。本人自身のクラブ活動力もなく、通常のバケーション・シーズンになれば、旦那子供と一緒にお出かけしているヒトが真顔でワタシにそう言っているのを見て、さすがにたじろいダ笑。

私にはこんな持論がある。初めから自分の意志や情熱、努める力、行動力ナシで、誘われたから来ただけの人というのが多く存在する。私はコンセルジュでも接待ババアでも無い。ツアコンではないので、ついて来た人が楽しんでいるかどうかに気を使っていること自体がムダなエネルギー。100%自分自身が楽しめなくなるような本末転倒とは事前に回避することができるのだ。

社交しに行くつもりでなく、目的がピュアに音楽だというのなら、最初からひとりで現場へ出向いて行くのがベスト。そこでひと目はばからず思い存分楽しんでしまうのがいちばん理にかなっている。そこで不完全燃焼だったと、あとで誰かを責めたり、間抜けだった自分にも後悔せずに済む。

このような一連の想いに共鳴し合っているかのよう、遠征先でたまに顔を合わせる、やはり単独行動している音楽仲間たちを「生命共同体」と互いに感じ取って、理屈抜きでスグ仲良くなれるのにもダンゼン納得。

そう、それはポテンシャルの高い
アナタのような人のこと。

48歳から人生の本編スタート。「生きる」記録の断片を書く活動みならず、ポエム、版画、パフォーマンス、ビデオ編集、家政婦業、ねこシッター、モデル、そして新しくDJや巨匠とのコラボ等、トライ&エラーしつつ多動中。応援の方どうぞ宜しくお願いいたします。