感じているフリはできない (後編)

そんなフリや勘違いを経て40歳半ば、ダンスフロアへと復活した。音楽はワタシのドラッグ。明けても暮れても繰り出し踊り続けさせてくれた。ダンスフロアで行き交うエネルギーで満たしてくれたのがパーティー。このエネルギーは人と自分を交差する多種多様な「愛の光線」だ。これがまた中毒性をともなう。具体的にそう認知するきっかけになったジャンルが「ディスコ」。

ジェラルディン・ハントが唄う『Can't' Fake the Feeling - 気持ちはごまかせない』という曲の動画を載せた。全3編に渡るノートの核となっているのがこの一曲。その曲の中で、「浮気」に勘付いた方が「アナタを感じている時、アナタは私が感じているのを感じて無いなら」と相手に詰め寄る描写がある。そしてサビである捨てセリフで「ごまかせないのよ」とくる。その通り。ごまかせたとしても感じているフリはできない。だから相手にはそのウソを見破ることができる。

他の曲では「恋に落ちた相手には、他の誰かがすでに存在した」とか「私がアナタを愛するように彼女には愛せない」や「これが私のナンバー、アナタの彼女は私の友達だけど、もし話し相手が必要になったら電話して」や「彼氏はアナタだったら良かったのに」などと歌われる。欲望うずまく一方で「裏切り行為」ともなり兼ねない恋愛交渉を至るところで展開させるディスコソングたち。

聴いている方ハラハラドキドキ。セクシーで挑発的発言がフック。「恋のお注射」が効いたひとの惚れて腫れる内容のれんぱでダンパ。身体表現がダンスで追い打ちな恋はノンストップ。中編で紹介したユーロビート『Boom Boom』だと、より「スポーツ感覚」。ストレートに「ヤルかヤラナイか」だけで、逆に面倒クサくない「セフレ募集」。

やがて、肉体的求愛を越えた境地にたたずみ、ダンスミュージックを消化している自分をみつけるに至った。ふらちで理解に苦しむような愛であったとしても、「踊りながら聴く」体感で、五感へとよく馴染んでいった。あるがままに在る愛をいつくしむ「宇宙のバランス」が、ふんわりと心に生まれはじめた感覚。

恋のマジックに魅せられることなら、私が言うまでもなく、あなたの方が恋愛の酸いも甘いも熟知しているハズ。そこであえて私は「音楽のマジック」をあなたに提言したい。それは聴いただけで懐かしい時間と空間が瞬時に広がり、そこに一緒にいた人や会話の内容から漂っていた空気や匂いとともにその日の天気や湿度まで、再現フィルムとして心の目の前に現れる驚異のこと。

自分の中で心底大切にしている想い。その抽象的なエリアを追憶した時、おもわず笑みがこぼれる。「あったまる気持ち」の持続性とその可能性とは音楽が与えてくれる代表的なカタチの愛。「考える音楽」にはあり得ない「感じる音楽」が永遠となる一瞬。時空を越えてひとを動かす『音楽の無形資産』。ダンスフロアのバイブスにいつわりはない。

今、私は感じている。

48歳から人生の本編スタート。「生きる」記録の断片を書く活動みならず、ポエム、版画、パフォーマンス、ビデオ編集、家政婦業、ねこシッター、モデル、そして新しくDJや巨匠とのコラボ等、トライ&エラーしつつ多動中。応援の方どうぞ宜しくお願いいたします。