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一発書きができない苦悩[自己中エッセイ]

時折、「オレってプロの物書きだよね?」と自分自身を疑うことがある。

正直なところ、客観的にみたら失格としかいいようがない。


一発書きができない。


言葉をしゃべるようにスラスラと。
ほとんど修正をすることなく、書いてそのまま出せるような文章を書けた試しがない。


イラストレーターや漫画家でいうところの一筆描きに近い感覚でササッと文章を書く。それができない。


このnoteの記事については、本来、毎日の食事をつくるかのように、いとも簡単に時間をかけず、労力もかけずに30分くらいで書いて公開する。
その日の終わりには「あー、そんなこと書いたんだったっけ?」となるような、いい意味で軽薄な、それでいて中身はなにげに重厚な文章を提供していくのが理想と考えていたが、いまだに程遠い。


とにかく、まず、第一に書ききれない。
30分、1時間と時間がモリモリと経過していく中で、「これを書こう!」と思い立ったインスピレーション発生から、最初の書き出し数行までは大体まあまあのペースで進む。

だが、そこからが続かない。
ここからは、まるで子どものような恥ずかしい自分の内側をさらさなくてはならないのだが、あっというまに書いている状況に飽きてしまうのだ。
最近はこの症状が特にひどい。

少し前までは、そこから先、「それでも!」と、少しは粘っていた。
だが、キーボードが一向に進まない。
仮に進んだとしても、サッカーでいう横パスのような、本筋としては前に進まない枝葉にしかならないような内容の記述ばかりが増えるだけで、一本の道筋としてつながらない。

未完成の状態から脱却できないまま、明け方に書き始めたものが昼になっても目処が立たない。
著しい時間の経過に嫌気が刺し、さらに、実質毎日行わねばならないハードディスクレコーダーに溜まった録画データをブルーレイにコピーする作業や、そもそも溜め込んでいる本筋の依頼されている書き仕事に手をつけなければ本末転倒ではないか、という気分になる。

そして、最後はやむなく「下書き」として保存する。
だが、それを再び編集し直すことは、いまのところほんの数度しかなく、それでも完成にこぎつけられなかった。


そんな状況が立て続けに繰り返されたことで、今では粘ることすらしなくなってしまった。
インスピレーションからパーッと書いて、最初に停滞したところで「この先粘ったところで先の苦悩は見えている。そして、時間は無限にあるわけではない」という気持ちになり、さっさと「下書き保存」するようになってしまった。

残されているのは、10や20ではきかなくなってしまった膨大な「下書き保存」の山である。


「三つ子の魂百まで」というが、この極端に長く続かない性分は、文章を書くこと以外にも、オイラの周囲にはたくさん転がっている。
ラベル書きがおいつかず、のっぺらぼうになっている録画済みブルーレイディスクの山。
ファイナライズをしておらず、録画した機器以外では再生できないのでずっと所持したままの旧主戦だったDVDディスクの山。ファイナライズをしてないから、2台あるDVDつきハードディスクレコーダーを処分することもできない。
さらにさかのぼって、VHSの山。MDの山。CDの山。カセットテープの山。

メディアだけじゃない。
いずれスキャンして電子化してから処分しようとして、まったく進まずにどんどん溜まっていく雑誌の山。書籍の山。ラノベ、コミックetc.

着るのはオイラひとりだというのに、衝動買いして何十着にも及んでいるTシャツ。
微妙にサイズが合わず、さして気に入っているわけでもないものも結構あるというのに、バリエーションとしてとっておきたいという貧乏性から十何本と引き出しが開かなくなるほど詰め込んでいるズボン。

どれも、捨てられない人典型の溜め込み性のなせる技である。

ついでに、自分自身の体さえもが、一日に食ったものをすべて燃焼しきれずに溜め込んだ脂肪分に満ちあふれているという……。

改めて振り返ってみると、苦笑するしかない。
飽き性 + 溜め込み性 のコンボって、本当、最強だな。ハハ……ハ。


とはいえ、ひととおり自己分析して、自己嫌悪して、このうえ自暴自棄になってしまったら救いようがない。

この記事についても、すでに書き始めてから45分が経過しているが、こいつまで「下書き保存」してしまったら、なにも打開できない。

実は、今、ふたつほど追い込まれている仕事があり、さらに、今週末にかけてやたらと新たな仕事が発生してしまい、さらにさらに、元々、今週末から週明けにかけては、土日月火とすべて外出の予定を入れてしまっているため(月はプライベートの用件だが、あとはすべて仕事)。
家で落ち着いて作業できる時間がもうない中で、どうするんだ? と思案に明け暮れている真っ只中ではあるのだが、ここでこの文章を書くのをやめたら、もう人間としておしまいだ!!

そのくらいの意気を出さないと書ききれないのが、プロとして、そもそも情けないといえば情けないが、まあいい。
今のオイラは本当にその程度の実力しかない並以下のライターなのだ。
すこしでも現状を打開したいのなら、書ききるしかない。先を急ごう。


現状を自己分析すると、要するに、今、一番必要なのは、執念深い粘り根性である。
オイラは確かに飽きっぽいし溜め込んでしまう。
しかし、もうひとつ元来から持っていた性分として、飽きて溜め込んで放置したものを決して見捨てたことはない。

いや、実際にはあるか(笑)。
あるんだけど、最終的には時間がたったあとに復活して、ひと区切りとなるところまでは着地させていることも、それなりの数あった。

毎日コツコツと積み上げていくようなことができない性格。
瞬発力のあるときにガーッと進めて、あとはぐてーっとするを繰り返す性格。
だから、どうしても猛進期と停滞期が発生してしまうのだが、それを粘って拾ってなんとか成就させる。
いまさら変えるのが難しい五十路間近のオイラにできることは、現状持っていると思われる自身の人間力を駆使するしかないではないか。
この粘り性分があればこそ、30歳を過ぎてからライターに転じることができたわけだし。


まあ、時間の猶予をまったく与えてくれない現代社会において、生きていくのが大変難しい性分なのは間違いない。
現実に、一番の敵はこれまでもずっと時間であった。
猛進期を迎える機会を得られることのないままタイムアップとなってしまい、間に合わなかったり、ハンパな状態のままどうしようもなくなって破綻してしまい、人の助けを借りてなんとかしてもらったことも前職時代を含めて過去には多々あった。

でも、それはいまさら振り返るまい。
ケツから逆算して毎日の計画を練ったところで、波が激しいからそのとおりに遂行なんてできないのだから。
それはもう、学生の頃から何十回もトライしてダメだった。


ならば、時間の経過を悔やむことなく、ひらすら粘るのみ

よく考えたら、そもそも、最初の書き出しから停滞したところで粘らないことが、その後の破綻につながっているのだから、まずは「書き出したら着地するまでやめない」が最優先
そうして、新たな「下書き保存」を極力発生させないようにして、既存の「下書き保存」も速やかに完成させていく。

それを目指そう。
一発書きなんてできなくったっていいじゃないか!

結局は、ひとつひとつ逃げずに向き合っていかないことには、目の前に積まれているものはいつまでたっても減らないのだから。
直しの連続になってもめげることなく、しつこく、執念深く、粘っていく
よし、それでいこう。

あとは、この精神が果たしてどこまでもつか?
なにせ飽き性だからね。

粘っこいのに飽き性?
なんだか、よくわからない人間性だな(笑)。

でも、その性分を込みでやっていくしかない。
また停滞期に入ったら、その都度、打開策を考えればいい。

とにかく。
今日得た教訓としては、、、、

自分を信じて立ち向かって行きませう!!

である。


……ということで。
書き始めてから1時間20分が経過した今、なんとか「下書き保存」の誘惑を断ち切って、久々にひと区切り着地するところまで書ききることができた。

フー。

これをひとつのきっかけにして、リスタートしていこう。

フリーになってからもう8年半。
なんか、ずっとこの繰り返しをしているが、まあいい(笑)。

この先の成果が楽しみになってきた。

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