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何でもない日常の空気が変わる瞬間

お母さんに抱っこされた子どもがバスを待つおじさんに手を振り、おじさんもにっこりしながら手を振り返す。それに気づいたお母さんとお父さんも思わずにっこり。そんな通りすがりのちょっとした出会いを目にしただけで、今日は外に出てよかったなぁと思える。

何でもない日常のまっすぐな空気がふんわりと形を変えたように見えた。
日常の光景が誰かのちょっとした行動や気遣いで、特別なものに変わる瞬間っていいな。

そんなことを考えながら歩いていたら、私も知らない女の子に手を振ってもらえた。手を振ってもらえるのって嬉しい。何でだろう。

彼女は満面の笑みで、今の幸せを共有したいと思ってくれている感じがした。このあたたかく、心地よい日にあなたと出会えて嬉しいと言うかのように。

ただすれ違うだけのはずだった人と、
一瞬だけ交差してまた離れていく出会いって、私は好き。

帰り道に、コンクリートの壁をじっと見ながら、あたりを見回している女の子がいた。どうしたのだろう、と目をやると、壁にはテントウムシが。テントウムシとの出会いを誰かと共有したかったんだね。私もテントウムシは好き。気が合うね。

声、かけてみればよかったな。

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