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第8話»とろける休憩所

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叔父の作ったスペースはシンプル&ゴージャス。
気軽に利用出来るうえに奥が深い。
片側から見渡せる爽快なビューの前に設置した、洒落た硝子テーブル越に
思い思いの時間が過ごせる設計となっている。
各自が持ち込んだ飲食もそこでは可能だ。
ビジネス街が隣接しているので持参ランチタイムを
満喫することも出来た。
更にゆったりとした時間を過ごしたい方には
ハイセレクトした空間が照明を落として待っている。
元々が女性ばかりの場所なので安心してお昼寝が
楽しめると言う訳だ。

予約調整の時間待ちの為に
作った場所だったが、
時間より早く来て利用する人達が
後を絶たなかった。
「こんな場所が欲しかったの」と嬉しいお言葉を頂戴した。
結果、会員数は増え予約遅れも殆ど無くなった。
加えてグループ会社が販売している健康食品の
展示試食販売をそこで行うことで
販売実績も鰻登り。

「先輩、上のフロア盛況ですね。
SNSでトレンド入りしてますよ。
ハッシュタグ、私のとろける休憩所で広がってます。
しかも地域限定ではなく全国区トレンドです。
地域トレンドは狭いですが日本トレンドって凄いですね」
ロッカールームで着替えながらイマドキが
嬉しそうに話す。
「そうなの!」
そうなると益々、忙しくなりそうだ。
店長応援要求してくれてると良いけど(-_-;)

奈美の予想は的中した。
OPENと同時にドッと客が押し寄せ、広いフロントにも関わらず人間団子。
とまでは行かないけど、とてもじゃあない人の数にごった返した。
当然ここはRPAとAIをミックスしたシステムが作動して、応援スタッフや
シフトの流れがスムーズに行くようになってはいる。
が(-_-;)ここの店舗の長は超アナグロ、しかも根っからの体育会系だった。

スタッフを牽引する力は有り、それを慕わる者も居る人格の
持ち主なのだが。
根性と書かれた特攻服が怖いくらい似合いそうな人で、AIなんて気に食わないかも知れない。
だからって職場がてんてこ舞いになってもいいわけが無いのだ。
折角の営業案が台無し。システム管理上大問題であった。

根性で乗り切れる域は間違いなく超えるだろう。
RPAAIに遠く及ばない奈美頭脳でも予測可能だった。
店長には悪いがマネージャーに連絡しとこう。
ところが奈美より早く動いていた者がいた。
イマドキだ。
「奈美センパイ、パソコン正常に戻して置きました」奈美の耳元で囁く。
イマドキ、good job!






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#ゴージャス
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#昼寝
#根性

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