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A病院へ a先生との出会い【HTLV-1キャリアでもある私】      回想・・13

(A病院・a先生とさせていただきます。)


いよいよA病院を訪れた。

入口では何人もの職員さんがいて、手の消毒や検温のチェックが厳しかった。そんな時の受診である。初診の慣れない手続きを済ませるだけで私はぐったりしてきた。(どんな先生なんだろう・・。)怖くなって腰が引けてきた。緊張しそうで、事前にネット検索してa先生の情報は入れないようにしていた。それなのに、病院に着いたら急に妄想は膨らんでゆく。仙人のような白い髭のお顔。見た目も怖いうえ、厳しい事を言われたら、どうしよう。昔読んだ漫画『ブラックジャック』の登場人物に出てきそうな・・ドラマ『白い巨塔』など、頭に浮かんできた。おそらく研究機関のある大学病院という事にどこか怖くなっていた。研究に協力する意思はあるのだが、どんな事をするんだろう・・。

そのうち名前が呼ばれた。「よし!」と気合をいれた。診察室に入ると、入れ替わり立ち代わり白衣を着たお医者らしき方々が、目の前に現れた。いくつか質問された。ご丁寧にご対応下さったが、a先生ではないらしい。

又すぐに待合席に戻された。気合を入れたのでちょっと拍子抜けして、またドキドキが止まらない。「具合が悪いので帰ります。」と目の前を歩いている看護師さんに言いそうになったが、ここは病院であった。間もなく「お待たせして申し訳ありません!」と息を切らして、私を待合席まで迎えに来てくれた方がいた。そのまま付いてゆき診察室に入る。その方はドクターの椅子に座る。「え?・・a先生なんですか!?」と、最初に発した私の言葉に、後ろに立っている職員さんたちが驚いていたのは、マスク越しでもわかった。しまったと思ったが私はあんまりにも驚いていた。あとで知ったのだが、a先生は研究医師として著名なお方であった。先生を頼って受診する方ばかりだと思う。私は全然存じ上げず、事の流れのままa先生を訪ねたのだ。勝手に意地悪で怖そうな方を想像をしていたのも申し訳ないが、まさか先生ご自身が待合席へ迎えに来てくださることがあるなんて。更に「はい。私がaです。宜しくお願いします。」とニコニコされて深々と頭を下げて下さった。

深くお辞儀をされご挨拶されるなんて・・。本当に恐縮であった。a先生との出会いは驚きと、私の失態から始まった。

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