私のサンティアゴ巡礼を語ろうと思う
2016年6月30日
私はカミーノ・デ・サンティアゴ(サンティアゴ巡礼)に出かけた。
今から5年前のことだ。
本来こういうブログ的なものは、リアルタイムで書くものだと思う。
だが、とてもじゃないけど1日に平均25kmを歩いた後に更新なんてできなかった。いや、その前にパソコンを持って行かなかった。歩くのに重いから。
それに、巡礼中は本当にただ一生懸命すぎて日記すら書くことができなかった。ただただ毎日、足を動かし汗をかき、食べて寝てそれだけで精一杯だった。
そしてその後も極度の面倒くさがりのため、この巡礼について特にまとめたことがなかった。でも、さすがに5年経ち、いろんな記憶が薄れていくのがなんだか惜しくなってきた。それに最近いろいろと思い出を整理し人に伝えてみたくなったのだ。つまり、今が「書く時」なんだと思う。
そういうわけでこれから私のサンティアゴ巡礼記を書き綴っていきたいと思う。
カミーノ・デ・サンティアゴ
そもそも、カミーノ・デ・サンティアゴとはなんぞ? という読者さんのためにも、まずはその説明から始めたい。
カミーノ・デ・サンティアゴ(スペイン語で「聖ヤコブの道」の意)は、北西スペインに位置するカトリックの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼路のことだ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの街には、聖ヤコブの遺骸を祀る大聖堂があり、ヨーロッパ各地から巡礼路が伸びている。スペイン国内には主に「北の道」「フランス人の道」「銀の道」の3つがあるが、フランス人の道が一番巡礼者が多く、私もこの道を歩いた。
キリスト教の巡礼路だが広く一般に開かれていて、スペインの美しい景色の中を歩きたい、スペイングルメを楽しみたい、心静かに自分と向き合いたい……等、様々な思いを胸に世界中から多くの人が集まる。ちなみに世界遺産の道でもある。
巡礼の仕方
誰でも歩けるのは分かったけど、どんな風に巡礼するの? と思う方もいると思うので、下にまとめてみた。とてもシンプルだ。
【初日】
スタートする街の巡礼事務所で、巡礼証明書(クレデンシャル)を発行してもらう
【巡礼者の1日】
①体調と日程を考え、歩く距離を決める
②休憩しつつ、田舎道をひたすら歩く
③目的の町に着いたら巡礼者宿にチェックイン
④洗濯、食事、観光など自由時間
これをただひたすら聖地に着くまで、毎日繰り返すだけなのだ。
それからもう1つ。通行手形のような巡礼証明書にはスタンプ欄がある。ここに立ち寄った教会や宿泊した宿のスタンプを記録していくのだが、これがなんとも楽しい。
唯一無二のスタンプと日付がスタンプ欄にたまっていくのを眺めると、こんなに歩いてきたのだなぁとしみじみとする。スタンプラリーのような御朱印のような、コレクター心をくすぐる魅力がある。
私が巡礼に出発するまで
そもそもなぜ、サンティアゴ巡礼をしようと思ったのか。それにはいろいろと理由があった。
まずは、私が元々地中海地域が好きでスペインも当然好きだったこと。宗教と建築、絵画に興味があったこと。巡礼に出かける2年前にクリスチャンとして洗礼を受けていたこと。それから、何かのタイミングでスペインに世界遺産の道があると聞いていて興味があったから。
でも一番は小野美由紀さんの『人生に疲れたらスペイン巡礼』を読んだことが大きい。
当時の私は今と同じように人生に悩んでいて、何か変化を欲していた。人生をリセットしたい。今いる場所を離れスペインの自然の中を歩きたい。デトックスしたい。そう思った。安直かもしれないが。
ちなみにスペイン行きを最終的に決めたのはメキシコシティの宿だった。ちょうどメキシコで働く計画が崩れてしまい、ひどく自己嫌悪で落ち込んでいたのだ。
「これからメキシコで働こうと思っていたのに」
「私はこれからどうしたらいいんだろう?」
「あ、そうか。やるなら今だ」
そしてほとんど思いつきみたいな勢いでスペイン行きのチケットを購入し、準備もそこそこに巡礼に飛び出していた。
これからの更新
以上が、私がサンティアゴ巡礼に出かけるまでの経緯だ。
2016年の6月30日にフランスのサン=ジャン=ピエ=ド=ポーを出発し、同年の8月3日にサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着した。
(ちなみに「同年の」としたのは、巡礼には期間の決まりがないので、複数回に分け何年かがかりで歩く人もいるためだ)
約800km、34日間の巡礼旅。
1日を1記事にまとめる形で更新しようと思う。読者の皆さんに、私と一緒に旅している気持ちになってもらえたら嬉しい。
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