食事なしで⁉ 社会の食への関心を高めた企画。VR×農業体験ツアー@北大祭2024
やりたいと思ったことは、実際に口に出して誰かに伝えてみるべき。
そんな気づきが得られたのは、北大祭2024での一企画でした。
北海道大学社会連携サークルきづき・きずきからは、今年も「Culture & Sports fes!」が出展。今年のテーマは「知的好奇神の祭典」。2023年よりも進化した数々の企画ブースでお客さんの好奇心を刺激しました!
本記事はその一つ、VR×農業体験ツアーについてご紹介します。
1分で振り返り
VR×農業体験ツアーがどんな企画だったのか?
キッカケから結果までを図でまとめています。
おっ!というポイントがあったら、ぜひ最後までお付き合いください。
食と人を繋げたい!想いの原体験と企画化
VRゴーグルをつけると、酪農や農業の現場に行ったような体験ができる!それがVR×農業体験ツアー。そのキッカケは企画メンバー「いっちー」の原体験にありました。
2023年、秋。
授業の一環で町村農場を訪れた。
しかし彼は、半日だけの視察では物足りなかった。
新規就農を目指す”せいのめいこ”さんとの出会いが契機となり、
妹背牛牧場を紹介され、さっそく訪問。
これまで持っていた牧場へのイメージとのギャップに衝撃を受ける。
2023年、冬が始まるころ。
酪農業界に関わることを決意。
実際に酪農場でアルバイトを始めた。
現場を知っていくうちに、酪農業界(農家)が社会と離れた存在になっている現状が見えてきた。
生産者と消費者の間には仲介が入る。スーパーに売っている食べ物から生産者を意識するのは難しい。でも私たちは食がないと生きていくことはできない。自分の食に関して無関心で良いのか?このままだと日本の農家はなくなっていき、食すら完全に海外に依存する形になってしまうのでは?
食べ物を購入することは投票になる。たくさん買われるものはたくさん作られる。あまり買われないものはあまり作られない。安さだけで食べ物を選んでいいのだろうか?生産者の想い、生産者が実際に行っている取りくみを知ってもらい、良いものを選んで投票してほしい。
今の状況を考えると、食に関して興味をもつ「きっかけ」がないのではないか?と思った。
自分の場合は町村農場を訪れた授業が契機になった。食育や農業体験などの実体験が食への興味を生むはずだ。
2024年、真冬。思い至る。
社会が食について興味を持つ「きっかけ」作りをしよう!
そして、
所属する北海道大学社会連携サークルきづき・きずきのミーティングで議題が挙がった。
「2024年の北大祭はどんな企画を出したい?」
VR×農業体験ツアーの企画が始動した。
あくまでも一番食への興味につながるのは生産現場を訪ねる体験をすることだ。けれども、それはなかなか難しいということも理解できた。じゃあ、せめて現地に近い体験を届けたい。
思い至ったのがVRであった。
北海道大学のメタバース研究会と連携してコンテンツを作成。北海道大学FMIのVR機材を借りて体験会を現実化。せいのさんのご紹介により、YUMEYASAIさんと妹背牛牧場さんに映像素材の撮影協力をいただいた。
彼の想いが様々な人との連携を生み、
VR×農業体験ツアーが実現したのであった。
初企画、今後の課題は巻き込むこと
「いっちー」の振り返りは、企画実現までに直面してきた課題の話に。
根本のモチベーションは定まっていたから、そこがブレることは無かった。
ただ、自分で企画を立てて実現させるのは初めてで外部の方との連携はやはり大変だった。
VRに使う映像を撮る日は晴れていて欲しかったが、日程調整でチャンスがあった日はすべて曇りだったり…、連絡ミスによって本番初日が機器設定でつぶれてしまったり…。
もう少し余裕をもって日程調整すれば晴れの日を狙えただろう。当日運用する人がある程度VRの技術を知っていれば対応できた部分もあっただろう。反省点があふれてくる。
最も口にしていた反省点は「一人で頑張っちゃった」ことだった。
今回、サークル内部でこの企画を具体化していったのはほとんど「いっちー」自身だった。当日もボランティア学生(当時)と二人でブースを回していた。
内部の人をどう巻き込んでいけるのか?が課題だ。
いかに他の人に手伝ってもらえるのか。進捗をあまり具体的に共有しなかったのが改善点だろう。今どういう状況?何が手伝える?ということが伝わっていないと、協力してくれる気持ちを持ってくれていても入りにくいことがわかった。
8月下旬には現地に連れていく機会をつくる。そもそもこのテーマに興味を持ってくれるメンバーをもっと増やしていきたい。
北大祭では目標達成できたのか?
VR×農業体験ツアー。北大祭で稼働した2日間で206名が体験した。
ほとんど休みなく並びっぱなしの大盛況であった。
運営側としてはかなり大変だったので、2日目の日曜は自主的に1時間休憩をとったほど。
大満足な参加数。その多くはちびっ子世代だった。
「牛がいたー!」とか「畑にいるー!」という純粋なリアクションが聞けた。
想定よりずっとフレッシュな客層だったけれども。純粋に楽しんでくれて良かった。楽しかった経験は食への関心につながってくるはずだ!
きづき・きずき
企画をやってみて一番強く感じたこと。
きづき
「やりたいと思ったことは実際に口に出して誰かに伝えてみるべき」
今回の企画も、元々せいのさんと話しているときに食について興味を持ってもらうイベントをやりたいと話したらYUMEYASAIさんを紹介してもらって、YUMEYASAIさんと話している中でVRという話が出てきて、そのあと北大祭の事務局からメタバース研究会を紹介してもらって企画が実現した。
この企画をやろうとしたことで、似た想いを持っている人々とも出会い、話すことができた。
全体を通して今回の企画は大成功だ。
反省点を改善しつつ、次は一般の人を牧場や農場に連れて行く企画を計画したい!
きずき
「食べておしまい!ではないコンテンツを発明できた」
食を伝えるとしたら食べ物。
食べてもらって伝えるというコンテンツは様々ある。
でも、北大祭の会場の都合、飲食できない制約があったからこそできたVRというコンテンツを発想できた。VRコンテンツはもっと膨らませていきたい。道東ー道北のような札幌から距離が遠い農家さんとも協力してコンテンツをつくっていきたい。
VRはコンテンツをweb上にアップロードしておけば全国各地、世界各地で見ることができる。どこでも体験できる。ずっと残るコンテンツというのが良い。
次なる挑戦
いっちーの目的はブレない。
しかし、その方法はVRだけに囚われていないようだ。
今度は映画を作ってみたい。と言う。
北大の映画研究会に協力してもらって10-15分くらいの尺でドキュメンタリーを作るつもりだ。それに試験的な農業体験ツアーも企画していく。
そんな「いっちー」の今後の活動に目が離せません。
これを読んで共感した方がいたら、ぜひ、巻き込まれにいってください。
きっと面白いものが待っているはずです。
おわり。(インタビュー&編集:名畑)
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