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倉田翠 / 『小町風伝』 応援コメント

踊りのことを言葉にするのはかなり難しい。
だから、私にできる限りの、きたさんの踊りを見ている時の私自身の状態を書こうと思う。

きたまりのダンスは、ごく小さな、または非常にゆっくりとした身振りや、ある態度(それは挑発的に見えたり悪態を付いていたりするように見えたりする)から始まる。こちらの身体が身構える。 そこから徐々に、エネルギーのようなものが溜まっていくのを感じる。「来るぞ」と思う。待ち構える。 何かの拍子にその小さな身体に溜まっていたエネルギーが放出され、リズムになり、空間に投げ出される。うーん、投げ出されると言うよりは、一回彼女が内臓ごと吐き出してそれで私たちをかっさらって丸呑みにされる、そんな感じ。 身体がきたさんに取り込まれて一緒になって躍動する。半ば無意識に。ちょうど、どんどん光度を増し周りの惑星を吸収していくでっかい太陽みたいな。 そうこうしていると、その躍動がほぼ動いてないくらいにピーンと張り詰めて行くのを感じる。どんなに動いていても、どんなに音が鳴っていても無音。防音室の中で、呼吸や叫びや存在が全部消えて地平線みたいになる。 身体に静寂が訪れる。 はっ、と、我に帰る。 これが私はすごく好き。 ね、言葉ではさっぱり伝わらないでしょ。 見た方が早い。

きたさんの身体が、「沈黙のことば」とどのような化学反応を起こすのか、是非直接「体感」してみてほしいと思います。

倉田翠(演出家/ダンサー/akakilike主宰


きたまり / KIKIKIKIKIKI『小町風伝』 公演詳細はこちら
2024年11月2日(土)3日(日) 両日とも17:00開演
会場:大江能楽堂 (京都市)
 チケット絶賛発売中!!

デザイン:升田学 『小町風伝』フライヤー全体図 下絵1


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