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田舎に泊まろうin India

旅の途中で、インドのコーヒー農家に泊まった。
インドと言われてコーヒーを連想する人は少ないと思う。ほとんどの人がチャイだの、ラッシーだのをすぐに想像するだろう。しかし、インドの南部はコーヒーベルトに含まれており、コーヒー豆の栽培も行われている。道端でも、珈琲屋さんがあったりするのだ、チャイの屋台よりは少ないけれども。コーヒーを飲む文化ってのもある。その中でも、チクマガルルというコーヒー生産地に向かった。行き方はバンガロールからバス。チクマガルルで乗り換えて、アッティギリっていうとこで降りた。そこまでの道のりは山がちで写真の通り、森林に囲まれている。バスも1時間に1本あるかないかだった。バス停に時刻表が書いてないから、なんとなくバスを待つ。インドの鉄道は時間通りにほとんどこない、99%来ない。3.4時間くらい遅れてくる、すまし顔で。バスを待つ時も恐かった。来ない可能性があまりにも高すぎる。待てば来るけど。

アッティギリってとこには珈琲屋がぽつぽつとある。並んでいるってほどではないが。朝と夜は耳が赤くなるほど寒い。昼はわりかし暖かい。標高も少し高いところにあるためか。コーヒーを飲んで温まる、自分以外にも近くに住んでいる人らがカフェに集まっていた。そこでは、カレーじゃなくて、トマトソースのペンネを出していた。まるで、インドから離れたような気持ちになる。気候も食事も。そんな空間が存在していた。

珈琲屋の近くに農園が隣接していた。ピンクのコーヒーの実と緑色の胡椒を一緒に栽培していた。どうやって作られているのか興味があったので、頼んで農園をぐるりと案内してもらった。コーヒーの勉強をしている自分にとっては夢のような時間であった。そうこうしているうちにあたりは暗くなり始めた。まだ今日泊まる宿も決めていなかった。バスで若干の都市部に戻り、寝床を探すのは大変めんどうであった。ここで野宿することは出来なくはないが、きっと2度と目が開かなくなる気がする。田舎に泊まろうを思い出し、コーヒー農家の人に家に泊まらせてくれないかと頼み込んだ。学生でお金がない、泊まらせてくれと言い続けた。お金ないならなんでインドまで来れたんだ、そう言い返された。ちゃんと痛いとこを突かれる。なんも言うことがない。とにかく泊まらせてくれとお願いしてみた。パスポートを見せてくれと言われ、見せる。何しにこの場所に来た?コーヒーの調査か?などと様々なことを聞かれる、30分くらい。めんどくさかったから、頷き続ける。最後は粘り勝ちを収めた。ようやく、中に入れてもらい、トイレ付きの1部屋貸してくれた。自由にコーヒー農園も見ていいぞとの許可も得られた。必死に訴え続けることで通じたのだろうか、なにかを乗り越えたような気がした。さらに、おじさんは夕飯も出してくれた。なぜかその写真のカレーは黄金に輝いていた。努力の結晶だからだと勝手に解釈している。違うのはわかっている。その日はゆっくり眠ることができた。

次の朝、鳥の鳴き声で起きる。おじさんは近くのバス停までお見送りしてくれた。相変わらずバスはなかなか来なかった。

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