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【イベントレポート】はじめまして、関西編集保安協会です。

関西で編集業務に従事するさまざまな団体や個人が交流・連帯することを目的に設立された「関西編集保安協会」。本協会の発足決起会として、2023年6月30日に行われたイベントでは、編集に対する思いを登壇者が語り、イベント終了後には、お酒と軽食を片手に編集者同士の交流を行いました。

会場はβ本町橋。ビジネス街の中にある、川辺に建つ施設です。現会員に加えて、リリースやホームページなどを通じて協会に興味を持ってくださった方もたくさん。大阪、京都、奈良、兵庫から、約40人が集まりました。

会場となったβ本町橋
外の光がよく差し込む心地いい会場でした
各社の制作物が置かれ、自由に閲覧したり、持って帰れたりもしました

2階の各席や、会場1階の交流会会場には各社の制作物を設置。媒体をざっと眺めるだけでも、ジャンルもテイストもバラバラな編集者が集まったことが分かります。

イベントは2部構成に分かれ、第1部は設立発表と、各参画メンバーの紹介。第2部は「編集」についてのざっくばらんなトークセッションを行いました。

人と情報が錯綜する関西に、もっと編集者が必要

第1部の登壇者は、林 正隆さん(株式会社しがトコ/滋賀)、光川貴浩さん(合同会社バンクトゥ/京都)、トミモトリエさん(株式会社人間/大阪)。スクリーンを囲んで設立の想いを話しました。

登壇者の3人。協会のロゴがあしらわれた帽子をおそろいでかぶっています

この会を「関西編集協会」でなく、「関西編集『保安』協会」と名付けたのには大きな意味がありました。それはただ編集者を集めた会を作るのではなく、”関西の編集を守っていかないといけない”という思いです。横のつながりを作って交流することにとどまらず、関西のメディア・編集業が廃れないように協働し、人材やノウハウの不足、権利保全といった課題について、企業や業界の垣根を越えて取り組必要があると感じ、本協会を設立するに至りました。

関西エリアはオランダやサウジアラビアと並ぶほどの大きな経済規模を有しているといいます。多くの編集者が仕事の集まる東京に行ってしまうだけでなく、関西という地域スケールでやり取りされる情報量に対して、その規模を支える編集業に携わる人が少ないことも指定する意見が交わされました。

関西における編集業の課題を語る光川さん

「関西は2府4県それぞれ特有の文化的な蓄積があり、それらに寄り添って発信する力が今求められています。エリアごとの局地的な視点に限らず、2023年の文化庁移転(京都)、2024年の大河ドラマ(滋賀・京都)、2025年の大阪・関西万博(大阪)…と関西広域での社会的なイベントも続きますし、人と情報が錯綜する関西に、もっと編集者が必要とされていると感じています。」と光川さん。

今や編集は紙媒体やWEBメディアに限らず、SNSやイベント、空間や街づくりに編集の力が求められています。さらに、SNSの発達により編集が個人的で身近なものになっている中で、プロとしてどういった編集をするか?「編集とは何か?を協会員と共に考えていきたい」と語りました。

編集者の活躍の場を増やす

続いて協会の今後の活動について、林さん、トミモトさん、光川さんから説明がありました。

まず1つ目が、「編集者の活躍の場を増やす」。編集者を知ってもらい、また編集者の権利保全を行っていきます。その取り組みの一つとして先んじて「関西エディターズファイル」が作成されました。当日の会場には、普段の編集の現場やそれぞれの地域の魅力が伝わる写真を背景に、エディターズファイルの内容を抜粋して作ったポスターも貼られました。

会場内に貼られたポスター。背景の場所が、自然の中だったり、都会の路地中だったりとさまざま
「編集者の紹介を行う『関西エディターズファイル』を作る時に『編集とは何か』という問いをしたのですが、その答えがバラバラで。編集者によって価値観が違うんです。そういったおもしろさを発信していきたいですよね」と林さん。

また、各社がオフィスを開放することでフリーランスの編集者の仕事場を提供するという動きも。さらに「セカンドオピニオン制度」では、編集者がつかない仕事や第三者意見を募りたい時に、気軽に声かけできる制度を整えていきます。

2つ目が「編集者の発掘・育成」。「この業界に入りたい人は結構いるけれど、大学でも学部・学科があるようなデザインやテクノロジーの分野と違って、『編集』は入口がわかりにくいと思うんです。編集者に興味のある学生の窓口になってあげられると理想ですね」と光川さん。その足がけとして、編集に従事する企業で行う合同インターン制度「イレカエインターン」を行います。

3つ目が「編集の再定義・研究・拡張」。協会で編集そのものを考察・研究する場を設け「『編集』の編集」を行い、“見える化 ”することで、実務支援を行っていきます。

「今日のトークイベントのゲストである竹内厚さんが、編集ってプロレスみたいに分かりやすい技名がついていないと仰ってるんですが、まさにその通りだと思っています。ただ編集業にもテクニックやノウハウは確かにあると感じます。属人的な能力に支えらているものだとは思いますが、再現性のある部分については共有知としていきたいですね」と光川さん。

そして、協会の取り組みとしてさっそく8月に実施されたのが、合同インターン制度「イレカエインターン」。「編集」に興味がある学生に向けて、出版社、新聞社、Webメディア運営会社、広告制作会社など、編集能力が求められる様々な企業で、業種の垣根を超えて現場の体験をしてもらう企画です。

「たまたま訪問した企業との相性が悪かったせいで、編集自体をあきらめてしまうのってもったいない。今後編集を盛り上げるためには、みんなで協力して人材を確保し、未来の編集者を育成するという発想が必要ではないでしょうか」とトミモトさん。

学生としては、編集に関わる複数の業種・企業を「つまみ食い」するように体験できるというメリットが。企業側にとっても、企業の存在を知ってもらう機会が増え、人材獲得・育成の面でも横のつながりができます。各企業が「競合」でなく「協働」することで、関西の編集人財をみんなで見つけて育てていくことを、協会を通じて行っていきます。

参加企業8社の紹介

第1部の終わりには、参加企業8社による会社紹介が行われました。

株式会社しがトコ(説明:林正隆)/滋賀

「滋賀を自慢したくなる」情報を、SNSを軸に発信。滋賀のキラーコンテンツである琵琶湖や風景に関するインタビュー記事などを配信。また、「公開編集会議」などの参加型プログラムも行っています。
https://shigatoco.com/

合同会社バンクトゥ(説明:光川貴浩)/京都

「路地的。」というスローガンを掲げ、路地のように細い道を進んだ先に見つかるような、まだ知られていない情報を掘り起こすようなスタンスで編集することを心がけています。噂で始まる京都観光メディア「ポmagazine」ほか、雑誌、広報誌、書籍、イベントなど幅広いメディアの編集業を行っています。
https://bankto.co.jp/

株式会社週刊大阪日日新聞社(説明:礒見愛香)/大阪

大阪市内外に、無料宅配の地域新聞「週刊大阪日日新聞」を29万部発行。新聞を残すために従来の新聞と異なる無料宅配×広告収入スタイルを確立。スタッフは全員広告営業と記者を兼ねるというスタイル。小学校に配布する「おやこ新聞」、ガイド冊子「まちあるき」も発行しています。
https://weekly-osakanichi2.net/

MARZEL(説明:前出明弘)/大阪

「街はヒトが面白くする」という考えの元、ファッションやアート、音楽、飲食など、さまざまなシーンで活動している関西のヒトを紹介するWebメディアを運営。ヒトが持つ背景を通じて、コト・モノ・カルチャーを発信しています。
https://marzel.jp/

枚方つーしん(登壇者が代理説明)/大阪

市内人口40万人に対し400万PVを誇る、枚方のマンモスメディア。地元の人にしか通じないようなマニアックな地域情報を配信しています。
https://www.hira2.jp/

ライツ社(登壇者が代理説明)/兵庫

出版社の立ち上げが厳しい現代に、「write」「right」「light」という言葉を掲げて設立。直近だと話題書「リュウジ式至高のレシピ2 人生でいちばん美味しい!基本の料理100」「HEROES ヨシダナギBEST作品集」を手がける。noteなどのSNS連携にも力を入れています。
https://wrl.co.jp/

参画企業や個人を募集

より大きな連帯にしていくため、関西編集保安協会の理念に賛同いただける法人および団体参画を募集しています。関西で活動する・関西にゆかりがある・関西に興味がある編集者の登録も受け付けています。

詳しくは、以下より入会のご案内ページをご覧ください。

第2部のトークセッション

第2部では、関西に拠点をもつ4人の編集者によるトークセッションを開催。関西と編集についてどう思う? そもそも何を“保安”するの? 協会をつくって何がしたい? といったテーマを軸に、トミモトリエ(大阪/人間編集部)、竹内厚(兵庫)、しまだあや(大阪・奈良)、光川貴浩(京都/バンクトゥ)が座談会を行いました。


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