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【こんか漬けとお酒】「菊姫 山廃純米」

今回も再び石川県の伝統的な保存食である魚のぬか漬け「こんか漬け」と、それに合う石川県の地酒のお話です。

1.「菊姫 山廃純米」について

今回紹介するのは石川県白山市の旧鶴来町にある菊姫合資会社の「山廃仕込純米酒」です。

山廃菊姫

このお酒でよく目にする商品の宣伝コピーや蔵元自身の紹介文は以下の通りです。

しっかり造った麹と強健な山廃酒母で、米の旨味を目一杯引き出された一本。
酸味がしっかり効いた、山廃ブームの先駆けとなった濃醇で飲み応えのある「男酒」です。
個性的な味わいですので好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ガツンとしたお酒を飲みたい人にお勧めです。 

強健な山廃の酵母と手作りされた麹が造り出す旨味は絶品で、山廃仕込みならではの濃醇な香りと風味が堪能できます。
山田錦の本来の味わいをしっかりと引き出しており、酸味も利いているのが特徴で、純米酒のコクと力強さがはっきりとしているお酒です。

2.商品仕様(スペック)

■造り:山廃純米酒
■原料米:山田錦(兵庫県三木市吉川町・特A地区産)
■精米歩合:70%
■熟成年数:1~2年
■使用酵母:自社酵母(7号系)
■日本酒度:±0
■酸度:2.5
■アルコール度:16~17%

3.酒質(味わいや香りなど)

■甘辛:普通
■飲みやすさ :重量感があり、通好み
■深み :しっかりとした酸味とふくよかな味の厚みがあり濃厚
■香り:刈り取られる直前の稲穂の様な、ナッツやカラメルを連想する芳醇な香り

菊姫のHP内の紹介だと以下の通りになってます。

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4.飲み頃の温度帯

■常温(15~20℃)…強い酸を感じると同時に濃厚な米の旨味がどっしりときます。まさに「濃厚旨口」という味で、この味の余韻が暫く続いた後に香ばしい苦味も出てきます。
■ぬる燗(40~45℃)…旨味と酸味が常温時の1.5倍〜2倍に膨らむ印象。ただ酸味は常温時より角が取れて少しまろやかになります。

5.山廃ブームの先駆け

この山廃純米酒は、戦後初めて菊姫が蘇らせた先人の知恵ともいえる山廃酒母を使って醸した純米酒です。昭和53年に日本酒業界初となる「山廃仕込」と表示した純米酒として発売されました。

山廃仕込みは米をすりつぶさずに自然に任せ乳酸菌を発生させ造る方法ですが、その分時間・手間・技巧が恐ろしくかかるので、この自然の摂理を巧妙に利用した山廃仕込みは合理化や省略化の名の下にほぼ消滅に近い状態でした。

しかし、菊姫では酒に個性を求める現在よりずっと以前から、この山廃仕込みにこそ日本酒本来の旨さがあるという強い思いで造り続けてきました。この手法で造られる酒は、アミノ酸が多く濃醇で凝縮された旨味やに酸の効いた飲みごたえのある味になる傾向が強いです。

6.最高ランクの山田の錦を使用

高品質の清酒造りに必要なものに、良い原料、良い人材、良い設備が上げられます。そのなかでも原料は特に吟味し、最高の酒造好適米でもあり且つ特A地域の山田錦だけを使用するのが菊姫のこだわりです。その特Aの中でもさらに高品質米が栽培される産地である兵庫県美嚢郡吉川町産(最高ランクの特AAA指定地域)の米を入手、さらに全生産量の約25%に相当する一万俵を毎年安定的に確保しています。この数字は単なる契約栽培を超え、生産者と信頼関係が築かれてきたことを物語っています。

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7.ほんのり薄化粧の黄金色

菊姫の酒は、『原料由来の味わいや、麹の旨味を生かした造りこそが本流である』という強い信念の下、酒の個性を生かし、酒本来の旨みを引き出すために最低限の炭素しか使わず、酒はほんのり薄化粧の黄金色です。しっかりした麹から引き出される米の旨味と麹の作り出す様々な酵素の働きによって、複雑で深い味わいを醸し出しています。

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8.蔵元について

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菊姫は一千有余年の伝統を誇ります。奈良時代以来、白山宮の神酒として醸造され、すでに室町時代には、「加賀菊酒」(菊姫の古称)と呼ばれました。天正年間(1573-1592)、屋号「小柳屋(おやなぎや)」として創業しました。
豊臣秀吉が醍醐の花見に、この酒を是非にと取り寄せたとも伝えられます。江戸時代には加賀藩の保護酒として愛飲され、また、加賀藩の御用商人や徳川幕府の巡見上使にも好まれました。

ちなみに菊姫の由来は白山比咩神社の御祭神「菊理媛(くくりひめ)」から、また「菊酒伝説」から伝えきいています。

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9.このお酒に合うこんか漬け

濃醇で酸味が強く、重厚な印象が残るお酒ですので、かなりクセの強く味が濃い商品…ふぐの子ぬか漬け(河豚の卵巣の糠漬け)がお勧めです。

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またこのお酒が持つ酸が油分を切ってくれるので、脂が強めの商品…さばへしこ(さば糠漬け)のスライス、また軽く炙ったものにもお勧めです。

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