就活言語化シリーズ「ALL ABOUT就活の基本」
こんにちは、Strobolightsの羽田と申します。僕はもともとマイナビで大手企業の新卒採用営業をやったり、学生むけキャリア教育サービスの立ち上げをやったりした後にマイナビを辞め、独立しています。
今は学生の声を企業の採用改善に繋げるサービスや社名を出さない合説や学生向けビジコンの企画運営をやっています。立命館大学の客員教授もやっています。なんだかんだ、学生や採用や就活やキャリア周りの仕事を20年やっています。
今回、僕なりの新卒就活の知見をまとめておこうと思い、「就活言語化シリーズ」としてnoteに書いていくことにしました。
今回はその第一章として「就活の基本」です。この後、「自己分析」「業界企業研究」「ES」「面接」など続けていく予定ですが、そうしたカテゴリに収まらない就活の基本的な考え方やスタンスをこの記事にまとめていきます。
結構長いので、興味あるところだけを見てくれても構いません。目次で飛べるはずです。
随時更新もあると思いますがぜひご覧ください。今後の更新を受け取りたい方は、僕のX か、このnoteのアカウントをフォローください!
新卒採用の力学
この記事は学生向けに書いていますが、学生を採用する企業側の事情を知る事は大切なので、まずは新卒採用に関する企業の理屈から始めます。
企業が採用で重視しているのは「再現性」
まずはこれです。これは新卒も中途採用もですが、企業が応募者を見る際に重視しているのは「再現性」、つまり、入社した後にどのような働きをしてくれるかです。
中途採用の時はこれまでの仕事経歴や持っているスキルで自社での再現性を見ますが、新卒採用の際、企業は学生に対して能力や経験はそんなに求めていません。理由は単純で、学生は働いた事がないからです。
サークルやバイトで何をやっていようが、ビジネスの世界の仕事とは何の関係もありません。学生はよく、自分のスキルや経験を語りたがりますが、そんなに背伸びしなくて良いのです。
*ただし、デザイナーやプログラマーなど何らかの専門性の高い技術が求められる仕事の場合はスキルも見られます
サークルの揉め事を解決しようが、バイトのオペレーションを見直して業務効率化しようが、会社入った後の仕事は揉め事の解決でもオペレーションの効率化でもありません。だから、学生時代に何を成し遂げたかはマジでどうでもいいのです。
新卒採用はポテンシャル採用
上記の再現性にも関係しますが、新卒採用はよく「ポテンシャル採用」と言われます。つまり現時点の能力ではなく、将来的なポテンシャルを見ているのです。まだ働いた事がない学生なので当たり前といえば当たり前です。
上記に例えとして「バイトの揉め事やバイトの業務効率化はどうでも良い」と書きましたが、なぜ揉め事を解決しようとしたのか、どのように考えてどう行動したのか、はその人固有のポテンシャルであり、再現性に繋がります。この辺はややこしいのですが、エピソード自体には価値はないが、エピソードを通して感じられるポテンシャルに価値がある、という事です。
ポテンシャルを感じることができれば採用するし、そうでないなら採用しません。
そして求められるポテンシャルは、当然ながら会社によって異なります。
学生に優しくすることが人事の仕事ではない
学生にはちょっとキツイこと言いますが、企業の採用担当者は学生に優しくしてあげる義理なんてないです。入社するまでは他人ですからね。
人事採用担当その人個人としては学生を応援したいと思っている人も多いですが、人事だってイチ会社員。組織の中での役割として、人事担当は自社で活躍しそうな人材を決まった人数、確保する必要があります。
たまにですが、大人はみんな学生に優しく手を差し伸べてくれると無意識のうちに思っている学生がいます。でもそれは違うよ、と。企業がやっているのは採用活動であって、学生支援ではない。
勿論、企業も悪意を持って学生を騙してやろうと思ってるわけではないです。でも別にボランティアしてるわけではないし、人事担当にだって立場や責任、果たすべき役割がある。そういう事を理解できないのは、ビジネスパーソンの入り口に立とうとしてる就活生としてイマイチだなと思います。
この辺はちゃんと理解した上で、相手の立場も尊重した上で企業とコミュニケーションした方がいいかなと思います。
企業間でも競争が発生している
そして、企業もよい人材の取り合いをしているということも理解しておいてください。人材獲得とは、企業にとって将来の生命線です。極論、採用が失敗したら会社の経営が傾くかもしれないわけです。
同じビジネスをやっている業界内では、活躍する人物像はある程度同じです。これはスポーツリーグのチームと同じだと考えると分かりやすいです。例えば、読売巨人軍と阪神タイガースはどっちもオーバーヘッドキックのスキルは求めてません。マンチェスターユナイテッドと鹿島アントラーズは、時速150キロの投球ができる人材は求めていません。
つまり、同じ業界内では求める人物像が似がちで、企業間で人材獲得競争が発生するのです。
ここで前述した「人事担当の仕事は良い人材を獲得する事」が出てきます。各社の人事担当者は他社との競争の中で自社により良い人材を採用することがミッション。この後出てきますが就活スケジュールやルールを守る事よりも、自分のミッション達成を優先して当然。日本国憲法で採用ルールが制定されているなら別ですが、そうでないのでスケジュールもルールも別に守らなくたってよいのです(モラル上、そんな堂々とルールを破ることはしませんが)。
企業は、その年に入社する社員の人件費や、採用した後にどのように組織を動かしていくかの計画を立てます。そこで導き出された採用予定人数を採っていくのが人事の仕事。当たり前と言えば当たり前ですが、この前提を理解しているかいないかで、就活の対応や考え方が分かれる気がします。
就活スケジュールを言語化する
さて、ここまでの事情を踏まえると、就活スケジュールの事も理解しやすいかと思います。それでは就活スケジュールについて触れていきましょう。
*2024年1月時点の情報を元に書いています
形骸化する就活スケジュール
表向き、就活解禁は「3年生(修士1年)時の3月となっています。ただこれは別に法律ではなく、「要請」です。ここの話を書くと滅茶苦茶長くなるのでまた別の機会に書きますが、要は「就活に一生懸命になるのではなく、勉強ちゃんとやってくれ」と社会が企業に要請しているわけです。
でも、法律ではない以上守る義務はない。破ったからといって罰則もない。で、前述した通りの企業側の力学が働き、この就活スケジュールは実質形骸化しています。
すなわち、就活解禁前にインターンなどで学生と接点を持ち、そこで出会った学生たちを早期選考に呼んで早めに囲ってしまいたいわけです。早く動かないと、優秀な人材が他社に採られてしまうからです。
この、「学生の学業を阻害すな」と、「でもうちの会社にはいい人材入れたいんよね」という矛盾が、今の就活を胡散臭くしています。
その是非はともかく、夏のインターンから就活は始まっているのです。
インターンは、本来の意味を失いつつある
今、インターンについてしれっと触れましたが、インターンとは本来は「就業体験」のために行うものです。仕事経験のない学生が実際の企業の仕事を体験することで自身の適性やキャリアを考えるためのものです。ところが、2024年現在、インターンは実質的に企業の採用広報ツールと化しています。
つまり、採用活動が解禁される前に学生の個人情報を回収する手段として行われていることが多いのです。*全部のインターンがそうとは言いませんが
一応僕のスタンスを少しお話しすると、それでも学生はインターンに行くべきだと思っています。正社員として働くかどうかの前に、疑似体験とはいえその会社と触れる機会が持てる事には意味があるからです。
問題は、早期選考という存在です。学生のインターン参加動機が、「この会社で働くってどんな感じなんだろう?」ではなく、「インターンに参加すると早期選考に参加できるらしい」に変わっている気がします。
こうして「インターンに参加しないと不利になる」という精神状態になり、就活がテクニック論に陥るのです。
短期化する就活スケジュール
上記の通り、学生にとって「インターン=早期内定の手段」と化しているふしがあります。つまり、インターンとは学生にとって企業の選考の一種なのです。
で、就活は早期化とよく言われますが、僕が課題感を感じているのは短期化です。25卒から、マイナビリクナビのインターンサイトが6月1日から4月1日公開に前倒しになりました。つまり、学生は就活年次になった瞬間から夏インターンのエントリーを始めます。で、夏インターンに参加すると秋冬に早期選考に呼ばれ、早い学生だと3年生次の10月くらいには内定が出ます。
何が問題かというと、学生が自分を内省化したり企業やビジネスに触れる期間がほとんどない、ということです。3年になったらいきなりインターン対策が始まり、一気に選考と内定に突っ走るわけです。社会経験のない学生にとって、内省する時間はある程度長く取らないと、自分にとってどんなキャリアがいいか分からないのですが、その期間が短くなっているのです。
・・・これについて語り始めるとどんどん話が逸れそうなのでこの問題は一回置いておきます。
学生が理解しておくべきは「先延ばしにしないこと」
今のスケジュールについてはいろいろ課題があるのは間違いありませんが、それについて文句言ってても仕方ないので自分が何をすべきかを理解しましょう。
まず言いたいのは「先延ばしにするな」ということです。就活はどうやらインターンから始まるらしいなんてことは全学生、どこかで少しは聞いたことがあるはずです。大学だって案内してるはずです。全く聞いたことがない、という学生がいたらちょっとアンテナが弱すぎです。
インターン選考は練習試合みたいなもの
で、知っているのに動かない学生がいます。「自信がないから」という理由で見てみぬふりをする学生がいます。違うんです、自信がないから早く動きなさい、なのです。自信がないからこそ、夏のインターンに挑戦してほしいのです。多分、全滅するでしょう。でもいいんです。インターン選考は社員採用の選考とは全くの別物です。僕はいつも、インターンの選考は練習試合みたいなもんだ、と言っています。練習試合に負けても、公式試合で勝てばいいんです。
インターン選考に「まだ準備できてないからやめておく」という学生は、練習試合に出ずに公式試合にいきなり出るようなものなのです。それって滅茶苦茶厳しいですよね?
自己分析も企業研究も、早く動いた学生の方が有利になる理由
前述した通り、まだ働いたことのない学生にとって自分の内省化や、未知の社会を理解するまでには時間がたっぷり必要です。就活関係なく、日常生活から自己の内省化やビジネスの世界に触れていた学生ならともかく、圧倒的多くの学生は極めて牧歌的な学生生活を送っています。
で、インターンきっかけで早く動く学生はそれだけ自己分析や企業に触れる機会が増えます。結果的により熟した就活生となり、本選考が始まる頃には色々なことを理解した上でちゃんとアウトプットができるのです。
逆に、なかなか動き出さずに就活解禁間際になって焦り出す学生は、やったこともない自己分析や企業研究をどうやればよいのかわからず慌てます。
やったことない事は、誰だって最初は戸惑うのですが、その戸惑う時期が早いか遅いかの違いが、どのような結果になるかは言わなくても分かるでしょう。
繰り返しますが、自己分析や企業研究には時間がかかるのです。何か攻略法を覚えればうまくいく、というもんではないのです。
早く動か出す就活生を待ち受ける罠
という事で、早く就活始める事自体は悪いことではないのですが、夏インターンに挑むほぼ全ての学生が陥る事があります。
それは、「夏以降疲れる」ということです。夏インターンまでは突っ走れるのですが、夏休みが明け、大学の後期課程が始まると就活疲れを起こします。秋冬にもインターンがあったりしますし、夏までにきっと成長してるはずなのでその状態で改めて秋冬も色々な企業を見れれば良いのですが、正直、なかなか厳しいと思います。秋には学園祭がありますし、冬にはクリスマス、と大学生のエモいシーズンが秋冬なので就活は一旦お休み、となる学生が多いのです。
僕は、これはもうある程度仕方ないかなと思ってます。キャンパスライフを犠牲にして就活せい!とは思いません。まぁ強いて言えば、キャンパスライフと就活の割合を9対1位にして、たまーに企業セミナー参加してみたりするくらいがいいのか、、と思います。
3月春採用の明暗は、意外と早く出る
さて、3月から就活が解禁されるわけですが、3月から始まるのは「春採用」とか言われたりします。この春採用が、就活のピークであり、多くの学生が内定をもらって就活を終えます。
春採用で納得いく就活ができなかった学生は夏採用秋採用、、と続いていきますが、できれば春採用で決着をつけてしまいたいと思う学生が多いでしょう。実際、動く学生の数も、求人募集をする企業も春に比べると明らかに目減りします。
なので春採用の3月から6月までが勝負の時期なのですが、6月までチャンスがあるのかというと意外とそうでもありません。どういうことかというと、6月まで、というのは面接や内定が出るのが6月まで、という意味です。
つまり、エントリーシートで落ちる場合は3月4月にはもう決着がついてしまうのです。
特に大手企業の場合、3月にエントリーシートの締切が集中します。締切が集中するということは、結果が出るタイミングも同じ時期ということです。大手企業しか受けていなくてESが全滅すると、3月で受ける会社が全部終わってしまうのです。
現実問題としては、4月以降も新たにエントリーできる企業はありますが、エントリーシートで落ちるショックは大きく、どうしていいか分からずただただ流れの早い就活の中で途方に暮れてしまう学生もいます。
ここにも、就活解禁前から動くことの影響が出てきます。インターン選考などを通して自己分析や企業研究を進めている学生は、大手企業と自分のミスマッチ感にうっすら気づいています。なので、大手だけしか受けない、ということはないのですが、就活解禁してやっと動き始める学生は、まだ全然よくわかっておらず、とりあえず名前の知ってる大手企業に憧れだけで受けてしまい、全滅の洗礼を喰らうのです。
何度も書いた通り、自分と企業のマッチング具合がどんなもんかを判断できるようになるには時間がかかるのです。
企業はできれば10月内定式までに採用活動を終えたい
多くの企業は、10月1日に内定式を行います。で、企業の採用担当は内定式までにそのシーズンの採用活動を終えたいと思っています。なぜかというと、折角の内定式なので来春入社のみんなを揃えておきたいよね、という感情面での事情と、翌年の採用活動準備が始まるからです。
10月までに内定を出して承諾してもらうためには、遅くとも9月には面接がスタートしていなければなりません。となるとエントリーの受付は8月です。また、採用活動終盤戦はとにかく早く選考を進めたいので、選考活動自体が短縮化されたりします。エントリーシートがなかったり、面接の回数が減ったりなどです。なので、夏採用秋採用に挑戦する学生は気合い入れて頑張って欲しいところです。
一旦今回は以上です。また更新するときは告知するので、X やnoteのフォロー、お願いします!
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