自律神経を自分でコントロールする
「疲れた時、何もやる気が起きなくて困る……」と感じることがありますよね。それは自律神経が乱れていることによるものかもしれません。しかし、実は体を動かすことで自律神経のバランスが整いやすく、心身の元気を取り戻すことができます。そこで、自分自身で自律神経を積極的にコントロールする方法をご紹介します。「積極的に動く」「リラックスする」という二つの要素をバランス良く取り入れることは、自律神経のコントロールに繋がるのです。ぜひ、試してみてください。
【血流促進が自律神経コントロールの鍵】
自律神経を積極的にコントロールするためには、血流を良好な状態に保つことが非常に重要です。
自律神経は、身体の全体的な機能である内部器官や代謝、体温の調節などを司っていますが、その中でも血流の調節は特に重要です。交感神経が優位になると血管が収縮し、結果的に血流が悪くなります。血流が滞ると、特に末梢の細い血管において血液の流れが十分に行き渡らず、冷えやむくみといった問題が生じます。また、老廃物の排出がうまく行われないため、疲労感も増し、脳の血流が低下すると思考力も低下します。そのため、心の健康にも悪影響を及ぼし、さまざまな不調の原因となります。
一方、リラックスした状態では副交感神経が優位に働き、血管が拡張します。このため、血液はスムーズに流れやすい状態になります。
以上から、「自律神経の働きが血流に影響すると同時に、血流の悪化は自律神経のバランスを乱す原因にもなる」ということがわかります。つまり、血流を向上させることで、自律神経のバランスを整えやすくなります。そして、自律神経が適切に機能するようになると、血流も良好な状態を保つことができ、良い循環が生まれるのです。
血流を改善するために行うべきなのは、運動です。運動を行っている間は、交感神経が優勢になり、心拍数が増加し、血管が収縮します。運動終了後には、筋肉が緩んで血管が拡張し、血液の流れが促進されます。この血管の収縮と拡張により、自律神経の機能が活発化し、交感神経と副交感神経が正常なタイミングで働く最適な状態に近づきます。
運動後に得られる爽快感が心身の健康に貢献します。普段からストレスや緊張が続いていると、脳の視床下部で自律神経の調整を行う際に緊張信号が持続してしまいますが、運動後には副交感神経が優位になり、心身がリラックスするため、この緊張信号は減少し、視床下部の正常な機能が容易になります。
忙しい日々でも、気分転換のために運動時間を取ることは、心と体の両面からおすすめです。
【ウォーキングや階段の利用を】
キーワードは、「ゆっくり深い呼吸ができる運動」
普段私たちが運動をすると、呼吸は速くなり浅くなります。これにより交感神経の活動が非常に高まり、副交感神経の働きは下がります。そのため、強い負荷がかかるランニングなどの運動は、交感神経の働きを過度に高め、30代以降では副交感神経の働きが低下している人にとっては、運動後に十分な副交感神経の活性化が得られず、逆効果になることもあります。自律神経を効果的に整える運動としては、ウォーキングがおすすめです。30分程度のウォーキングを1回行うと良いです。また、日常生活でもちょっとした運動習慣を取り入れることも重要です。例えば、エレベーターやエスカレーターを避けて階段を使ったり、電車に乗る際に座らずに姿勢を良くして立ったりするだけでも運動になります。
ストレッチも、心身がリラックスして副交感神経の働きが高まり、血圧や心拍数が下がり、血管も拡張させる効果があります。
ストレッチをする時には、急な動きを避けて、ゆっくりと筋肉や腱を伸ばします。少しの強さで気持ちの良い緊張感を感じたら、そのまま10~30秒キープします。呼吸は止めずに自然に行います。無理に伸ばして痛みを感じるようなことは避けましょう。
さらに、血流を促進するためには、温かいシャワーを首に当てることも効果的です。首の血管を温めることで、効率的に血液の循環を促進することができます。また、温かい飲み物を摂ることも体を温かくし、血流を良くするだけでなく、心地よいリラックス感も得られます。