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引いて惹かれて 2019-12-31

私はいつも演劇研究会の劇を見るのを忘れていた。

だから今回はとても楽しみだった。

物語のあらすじ、ざっくり言えば、ひとつのサークル、そしてその周りの人々の日々と成長を描く物語。
それについて詳しく書かなくていいかな。

この先は私がどう思ったか、考えたか、そんなことを書こうと思います。
もしかしたら、全く思っていたことと違うことを私が思ったかもしれないし、「そうじゃない!」ということもあるかとは思いますが、そこはお許しください。


一人一人の言葉の重さ。これは、演者の中から発せられていたように感じた。
例えば、坂上が後輩にかける言葉。それは、坂上という役を通して岡田さんが、タフズというものを通して演劇研究会にかけている言葉のように思えてならなかった。
これが劇として良いのかは分からない。
でも、そこにあった「言葉の重さ」は、この國學院大學 演劇研究会というものに対しての「想いの重さ」であったように考えてしまった。これはきっと、卒業公演だからこそ感じることの出来る重さなのだろうと思う。

クイーンズが特に私は記憶に残ってる。
部長の健気な思いとは裏腹に、部員の気持ちがバラついていく過程は見ていてヒヤヒヤした。牧野に対して若干イラッとした瞬間に、「演技上手いなぁ」と思ってしまったり笑
ここで私が特に惹かれたのは名古くんだった。劇の始めから終わりの中で内面とともに変わっていく、「目」「視線」の演技。母親に対して気持ちを叫ぶ場面、母親側に観客が置いたのは意図があるのだろうか。私は、それがとても良いと思った。劇中、話してない時もずっと奥の方で不安げで、なにか悩むような目をしていた彼。そんな彼が叫ぶ場面。あの瞬間に観客の私はハッとした、彼の視線に、覇気に涙してしまった。

タフズがサークルの歴史を冒頭に語る場面
クイーンズがサークルの歴史を語る場面
この対比も面白かった。
バタバタと、目まぐるしく歴史を辿るタフズ。パワフルで明るく楽しく…。
対して、クイーンズはゆっくりと、紙芝居(?)の要領で、大切に歴史を辿る。
積み重ねてきたものが多いタフズに対して、すぐ振り替えれてしまうクイーンズ。

この対比があったからこそ、ラストの場面で2つのチームがぶつかった瞬間がアツかった。積み重ねてきた量は違うけれど、綱引きにかける想いはどちらも負けないというのをとても感じたから。

綱を引きながらグルっと動いてたあの動き、めっちゃビックリしたけど、迫力があって面白かったし、場の使い方が本当に上手いなぁって思った。
あの舞台が広い試合会場に見えた。

音楽に関しては、序盤ではコミカルな効果音として使われていた印象。(強そうな音…などなど)それが、後半、各人の葛藤や怒りにを表す音として使われている傾向が強かった。この劇における音楽、それは演者が放った言葉を乗せて観客に届けているようなイメージを持ちました。
終盤で使われていたBGMは、登場人物全員の繊細で力強い部分を表しているような気がした。
サントラ欲しい😇!!!!

「ひっぱれ!〜サークル太平記〜」は、部活動に参加した人には分からずにはいられない内容。「いるいるそんな人!」ってずっと思ってた。誰が見ても面白いんじゃないかなと思った。だからといってベタなストーリーではないし、新しいものを感じることのできる物語。

暖かい気持ちになったし、自分の思い出とリンクするタイミングは、やっぱり気持ちが辛くなる場面もあった。あの温度差、ほんとにリアルだったなぁ…🤔きっとあの温度差も、みんなが感じたことからくるリアルさだと勝手に思っている。


紙(脚本)に書かれた文字が、声に出されて動きがつくことでとてつもないパワーを持って立ち現れる。それを照明と美術が空間を作り上げ、音楽が空気を作り、舞台と観客を繋ぐ。
いろんな人の思いが集まって、一瞬で弾けてしまう花火のような空間。それが演劇の空間だと思っている。
あの場でうけた感動は観た人にしか分からない。「再現性が無い」、演劇だけが持つとても素敵なところ。演劇はナマモノ。素敵な体験をした。

引いて惹かれて


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