レビュー

〜2019シーズン J2リーグ 第5節 ヴァンフォーレ甲府 vs ツエーゲン金沢 マッチレビュー

 今節引き分けたことで甲府史上初、開幕5試合負けなし(3勝2分)です。ただ昨年からなぜか苦手にしている4-4-2相手に今節はかなり苦しい試合だったと思います。どう苦しんだのか振り返っていきます。はい。

◆試合結果

◆スタメン・フォーメーション

甲府:基本3-4-2-1⇔守備5-4-1
金沢:基本4-2-2-2⇔守備4-4-2

 甲府は前節の長崎戦から橋爪が小離脱で武岡が、リマがコンディション不良で今津がスタメンで起用されました。いつもリマのところから前進していたのが今津に代わってどうなるのかポイントでした。
 金沢は前節町田から6点奪って大勝したメンバーをそのまま起用しました。そのなかで金子と清原の位置を町田戦とは逆にしてきました。それがどうでるのかはポイントでした。

◆甲府を苦しめたビルドアップ妨害

 まず大前提として甲府はボール保持時3-2-5で前進します。3CBが2DHを経由して前の5枚へ配給します。それが無理ならリマに預けて運んでもらうというのが今シーズン序盤の前進のやり方です。しかし今節はリマが欠場でしたのでどうなるかはポイントでした。

 小出がボールを持つとクルーニーと小松が甲府2DHへのパスコースを消してジリジリ距離を詰めてきました。試合序盤はクルーニーが小出の左側(今津の方向)のコースも切っていたのでおそらくリマがいたときの対策もしてきていたのでしょう。甲府は2DHへのパスコースを消され、左サイドも消されたので小柳の方へ誘導されていました。金沢の思惑通り小出から小柳へパスが出ると小松がハイプレス。小椋へのケアをしていた金子も縦へのパスコース(横谷へのパスコース)を消します。パスコースを限定された小柳は武岡へボールをつけると沼田がプレス、武岡は急いでダイレクトで中盤へ降りてきた横谷へパス、横谷は山本に寄せられパスミスをし相手ボールへ。この一連の流れは慌ただしく完全に金沢ペースで奪われました。このシーンのほかにも失点シーンなど前半から金沢はパスコース消すのがうまく、後ろで手づまりしてしまい金沢陣地へ侵入する回数が少なくなってしまいました。

 このデータはFootball LABの甲府の前半のヒートマップを示したものですが、敵陣はうっすいうっすい。これが後半どうなったのかは後述にて。


 敵陣への侵入ができずにいた甲府は失点直後この試合最初の決定機を迎えました。小柳がボールを持つと案の定、武岡へのパスコースのみ。しかしこの武岡が少し変化を加えます。ボールを受けた武岡はトラップでインサイドレーンへ侵入にします。そのトラップを合図にウタカは同レーンの裏スペースへ、横谷は武岡が出た大外レーンの裏のスペースへ飛び出します。インサイドレーンへ入った武岡はウタカへスルーパス。受けたウタカは100点の高速クロス、逆サイド大外レーンから斜めにペナルティエリアへ入ってきていたドゥドゥはヘディングもタイミングがすこーし合わずサイドネット。なんともフロンターレっぽい攻撃!この一連の流れはこれまでの試合でうまくいってなかった武岡の動きを活かした?活かせた?攻撃だったと思います。これまでの甲府は左サイドから前進していくことが多かったですが、この試合はリマの不在、ドゥドゥを何とでも抑えようというゲームでしたのでこうしたストロングポイントを抑えられても、攻められる手があることは強みです。前節のPKを獲得したシーンも含め右WB武岡が少しづつ掴めてきているシーンだったと思います。

変化を加えたシーン
前節のPKを獲得したシーン

◆金沢の狙い

 金沢が前半再三狙っていたのがこの形。金沢はSBがボールを持つとボールサイドのSHが前へ出て3トップのような形にして甲府の3バックにはめてきます。また金沢の2DHと逆サイドのSHで甲府の中盤に噛み合うポジションを取ります。そうすることでボールサイドのSHが少し落ちると甲府のボールサイドのHVが食いつくので、クルーニーがCB-HV間を通って裏のスペースを狙う動きをするとSBからパスが出るというものでした。甲府は最終ライン5枚いますが、間を再三獲られたのは甲府の選手をゾーン・スペースを守らせず食いつくかせるように1対1のマークを金沢がはめてきてしてきたことでバランスが崩れました。ここはまだ甲府も成長すべき点だと思います。人でなくスペースを守る守備。

金沢の狙い

◆後半の巻き返し

 後半の頭から少し足を痛めた内田に代わり曽根田を入れました。個人的には内田が怪我をしなくても曽根田を入れてたのではないかと思います。前半ほとんど左から攻めれなかったこと、曽根田にいつもリマの役割であるボールを運ぶというのをしてもらい、なるべくいつもの形にもっていこうとしていたと思います。曽根田の投入でやはり大きく変化しました。

 Football LABの甲府の後半のヒートマップを見ると、左サイドが前半と比べて濃くなっています。曽根田は再三、左大外レーンやインサイドレーンで自由にボールを受けては前へ運び、ドゥドゥとポジションを入れ替わり立ち代わりアタッキングサードへ侵入していきました。金沢を前半よりも押し込むことができました。それが終盤のファイヤーに繋がっていきました。

◆ファイヤー

 65分にバホスを入れてドゥドゥ、ウタカ、バホスを最前線に並べました。この時から3バックの並びを右から小柳・今津・小出(後に右へ変更)に替え、シャドーの守備が弱まったことで金沢のSBからのクロス対策で真ん中にハイボールに強い今津にして対応しました。

これでも点が取れず、83分に武岡に代えて佐藤洸一を投入し、

 4-2-4に替えて、ファイヤー。そして90+3分についに興奮の同点ゴールへつながりました。

◆雑感

 前節の長崎戦から4-4-2のチームとの6連戦が始まりました(岐阜は4-4-2でも正確には4-3-1-2ですが(;゚Д゚))。昨年も4-4-2相手にはうまくいかず苦しみました。前節の長崎戦はうまく4-4-2の泣き所のスペースの多さを突いて2-0で勝てました。今年は行けるかと思ったのですがそんな甘くありませんでした(´;ω;`)。

 ただ42試合あるのでうまくいかない試合なんか当然あります。それでも昨年のままだったら、先制点を取られてズルズル試合が進みそのまま負ける試合が多かった中、最後の最後にどんな形であれ追いついたことは大きいです。伊藤監督も試合後のコメントでターニングポイントになると言っていたように、なんか今年は違うを象徴する試合になったと思います。開幕5試合負け無しの勢いはまだ続いています。岡山も今節、首位柏を叩いています。同じく勢いのあるチームだと思いますが、ここで負けるわけにはいきませんね。
 試合に出ていない選手も調子を上げてきています。佐藤洸一やバホスもスタメンで起用できる準備はできていると思いますし、松本とのTMでは宮崎、陸、荒木、太田などの若手も好調を維持しておりいつでも試合に絡む準備は整っています。怪我人が少し増えている感じはありますが、調子を上げている選手が多いのでチャンスをつかんでほしいです。どんどんメンバーが変わることでチームのいい循環を作っていきながら成長していければいいと思います。個人的にはWBに新しい芽が出てくると面白いかなと思います。
おい!森!早く怪我治せよ!!!!

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