二人のアンジェリカ#2【ヒプノセラピー体験記】
※ ヒプノセラピーでの体験を物語調に残す。
自己催眠で自分の潜在意識へと語り掛け、自分の前世の記憶から今の不安や悩みを癒す、前世退行療法。
ヒプノセラピーを知った経緯を書くと長くなるが、なんとなく自分の前世が気になって、私は新たな世界へ飛び込んだ。
ヒプノセラピー自体の体験はまた別で記すとして、先に私の見た前世を物語調に記す。
前回の続き
『さて、次の前世にたどり着きました。目を開けてください。…何が見えますか?』
今度は目を開けた瞬間はっきりと、明るくて広いお屋敷にいることが分かった。
「大きなお城…?明るくて広い大きな家にいます。足元は赤い絨毯…白いパンプスを履いています」
ウェーブのかかった金髪の少女が人形を持って立っている。目は緑がかった灰色で、ドレスのような赤いワンピースを着ていた。
『あなたの名前はわかりますか?』
「アンジェリカ。ここは…イギリスです」
今度も自然に言葉が出てきた。
7歳のアンジェリカ。
お母さんとお父さんは忙しくてなかなか会えない。でも、この場所は暖かくて大好き。お母さんがくれた人形から、いつでも愛情が伝わってくるから私は寂しくない。
『ではもう少し大きくなったアンジェリカちゃんを見に行きましょう。目を閉じて…次はどこにいますか』
一瞬脳裏に、図書館のような場所が浮かんだ。たくさんの本で埋め尽くされた本棚が見える。
「あ…学校です。授業を受けています」
私が座っていたのは階段教室の一席だった。今は授業中。アンジェリカは授業中に、授業とは違う、優しい時間のことを考えている。
「すごく好きな人がいて、授業中にその人のことを考えています。お兄さん?みたいな人で、あんまり会えないけどその人のことを考えるとすごく楽しい」
すごく温かい時間だった。
彼の優しい目が、息子のそれと重なった。
『では、次に行ってみましょう』
そう言ってまた意識を暗闇に集中させる。次のアンジェリカはもう、甘い想いに胸を躍らせる少女ではなくなっていた。
来年に続きます。
今年私と出会ってくれた皆様、ありがとうございました。1441
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