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ことばとうごきの螺旋運動

われわれは行動的に世界を、人間を、そして自分というものを捉えていく。捉えるのに欠かせないのが知覚をことばにすること。ことばによって行動を「行為」として自覚するのだ。対象や自分の状態、経験がことば化されると、事物や事象は現実の行動レベルを離れて、ことばによって支配される世界へと置き換えられる。ことばの持つ秩序によって捉え直されるのだ。そして、言語の形で記憶に保持され、必要に応じて呼び出すことが可能になる。それは、経験や自分の心の状態を外側から眺め直す、内観の機縁にもなる。さらに、他者との相互交渉(コミュニケーション)が増えてくると、自分の欲求、行動の動機や理由を説明しなければならない場面が多くなってくるだろう。少しでも相手に納得や共感してもらうためにはどう言えばいいのか、考えなくてはならない。行動だけでなく、ことばによる他者との「折衝」を必要とする。民主主義社会ならば必須と言っても過言ではない。

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