建物は地球の飾り物だ!私が管理会社を始めるきっかけの話
私が賃貸不動産業界に足を踏み入れて今年で24年目になります。
大学卒業後に就職した会社がアパート・マンションの建築から管理までを行っていたのがきっかけでした。
20代をその会社で過ごした私が、今でも心の中に響いている言葉がタイトルの「建物は地球の飾り物なんだ」という言葉です。
当時私が行っていた業務はマンション建築のためのほとんどでした。
アパート・マンションの建築プランから融資の取り付け、建築進捗管理、役所手続き、近隣対応etc…
年間数十棟もの建物を引き渡してきましたが、そこで様々な事を経験しました。
アパートやマンション建築の営業の世界では当たり前なのかもしれませんが、建てることが目的でした。
そこに需要があるとかではなく、まずは供給ありきで需要がなければ需要を作るといった感じです。
今でこそ山梨県の民間賃貸住宅の空室率がとても高いことは認知され、最近では建築件数もかなり減ってきましたが、当時は需要の見込めないところでもどんどん建築を進めていました。
営業マンは地図上で空いていそうな土地の所有者を調べ、端から電話をしアポイントをとっていきます。
そして、需要があるかのようなトークで地主をその気にさせていくわけです。
私自身の業務もその中にあり地主に建築を推進する立場でした。
未来予測は人口減少や供給過剰などを考えれば当時からなんとなく分かることでしたが、とにかく建てることにフォーカスしていましたので先のことなど考える余裕もありませんでした。
そんな私も20代後半になってくると、色々と思うところが出てきました。
このまま地主に建てさせ続けて良いのだろうか…
そんな事を考えていたある時、営業マンと建築技術者が口論しているのが耳に入りました。
一人は社内の重鎮的な存在であり建築業界一筋で昔気質な年配の建築士でした。
近くで聞いてみると、年配の建築士が営業マンに、
「こんなプランでお客さんのとこなんか持っていかせねーよ!」
「俺はこんな仕事したくないね!」
と言うのが聞こえてきました。
私はその年配建築士によく可愛がってもらっていたので、後で詳しく話を聞いてみると
「営業の野郎は儲けることしか考えてねーから敷地にキチキチに建物を配置しろって言うけどよ!」
「だいたい美しくないじゃねーか」
「建物ってのはお天道さんから見て美しくなきゃいけないんだよ!」
「だって建物は地球の飾り物なんだからよ!」
そう言われた時、私はハッとしたのを鮮明に記憶しています。
高額なマンション建設費は億を超えるのが当たり前の世界だったので、当然利回りを意識したプランでなければなりませんでした。
そのため敷地に目一杯の建物を配置し戸数を稼ぐ必要があったのです。
そこには、美しさや需要といった概念は存在しませんでした。
その言葉を聞いた時、これまで疑問に思っていたことが晴れていくような感じがしました。
一番やらなければならないのは建て続けることではなく、空室を一部屋でも埋めることではないだろうか!
20代の私はそんな当たり前のことに気づくのに時間がかかりました。
当然営業に積極的になれなくなった私は程なくしてその会社を退職しました。
そして、これまで建ててもらったオーナーや空室で困っている大家さんのために一部屋でも空室をなくすためのお手伝いができないかと考え、始めたのが今の会社ということになります。
その言葉を伝えてくれた年配の建築士はこの世を去り、改めてお礼を伝えることができなくなりましたが、あの言葉がなければ今の私はありません。
本当に感謝しています!「ありがとうございます!」
私たちは、人々の豊かな生活を支えるため、住宅を提供するというお仕事に従事しています。
無計画に建物を建て続けるのではなく、建物と人とが美しく共存しなければなりません。
空き家や空室を一つでも減らし人が住んでくれることで、建物も喜び美しく光り輝くのではないかと考えます。
まだまだ微力で力足らずですが、お天道様からみて人と建物が豊かに共存し、美しく光る地球の飾りものになるようこれからも尽力していきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました!
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