2022年2月の記事一覧
【第3話】もし夏目漱石が社交ダンス教室に行ったら
(前回の続き)
僕は其人(そのひと)を常に先生と呼んでいた。だから此処でもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。是は世間を憚る遠慮というよりも、其方(そのほう)が僕にとって自然だからである。恐らく誰にとっても自然である。其人は舞踊の先生だからである。
「あなたの履物の大きさは八寸六分あたりでしょう」と先生は言った。
僕の履物の大きさは、優に九寸を超えるのであるが、直ぐに否定することは憚ら
【第1話】もし村上春樹が社交ダンス教室に行ったら
(完全なる暇つぶし記事です。ハルキストではないのでかなり雑です。いろいろすみません)
その教室には、もう20年も前に流行った映画の主題歌が流れていた。拍子が違うと僕は思った。まるで人工的に作られた架空の国の音楽のようだった。
「こちらが更衣室です」と彼は言った。僕は肩から下げたナイキのスポーツバッグを見下ろした。彼が「更衣室」と呼ぶ重々しい扉は、ここに詰め込まれたスポーツウェアには似つかわ
【第2話】もし小泉進次郎が社交ダンスの先生だったら
(前の記事の続きです。前回、村上春樹を書いていたつもりが小泉進次郎のような終わり方をしてしまったなあと思っていたら、おぼろげながら続きの文章が浮かんできました。)
「シューズが必要なのかという質問は、シューズを借りる理由が知りたいということだと思うんですけど、社交ダンスを踊るためのシューズの必要性のような大きな問題は楽しくかっこよくセクシーであるべきだと思うんですよ。これがどういう意味かを説明す