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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1316.面従腹背


 赤い顔の少女が私の声に答えたが、どうやっているのか既に金属質から普通の肌に戻っていた。

「へーアンタの森?」

『はいはい、私がこの森で王を努めております者でして、周りの魔獣からはダソス・ダロスと呼ばれております、はい』

「そお、豚猪にしては割と大きいものね」

『えへへ、こりゃどーも♪』

 割と、だと? 俺より大きな生き物なんざ見た事ねーよ!
 私は特技の忍耐力を発揮して言葉を飲み込む事に成功し、代わりに口にした人当たりの良いセリフが相手の警戒を解く事にも繋がったのだ。

 赤い少女は私から目を逸らして隣の鎧に話しかけ始めた、今やればイチコロだろう、が、もう少し様子をみるか。

「ねえジャルダン、この子に聞けば判るんじゃない? ハタンガまでの道」

「レだ」

「え、何?」

「レ・ジャルダンだ、何度も言わせるな」

「あ、ああ、うん」

 レ? フランス人かよ? それに男だったらルだろ! レじゃ複数じゃねーか!
 私の心でも読みやがったのか鎧男がこちらに話し掛けてきた、陰気な声だ、気味が悪い。

「私の名はスミス」

『へ? ル・ジャルダンさんでは無いので?』

「ん? ああ、それは私の装備一式の名前だ、それとレだぞ、レ!」

『さいですか♪ それで何でしょスミスさん』

「レ・ジャルダンで構わん、他の者もそう呼ぶからな」

 どっちなんだよ、ややこしいな……
 私の忍耐力が持って良かった…… 短気な者だったらここら辺で殺し合いになっていただろうな、いや、一方的な殺戮、かな? フフフ

 運良く命拾いしたレレレのジャルダンは、そうとも知らずに私に話を続けて来た。

「我々はハタンガの女王、アリスに会いに行く途中なのだが、道は判るかな? 後どれ位だろうか」

『ハタンガ、ですか? それにアリスさん? さあ、この辺りじゃ聞かないですけどねー』

「む、そうか」

 鎧男のレレレのスミスのジャルダンは赤い少女を振り返った、今も殺せる、まあ見逃してやる事にしたけどな。

「知らないらしいぞ、どうやら道を間違えたようだな」

「この子が知らないだけじゃ無いの? 頭悪そうだよこの子」

 くっ、このアマ……

「しかし同じ豚猪だぞ? ましてや雄だ、近くならアリスの事位知っているだろう?」

「あーそっかぁ、アリスって人気みたいだもんね、豚猪には」

 なんだ? アリス?

「そうだ、腕に自慢のある豚猪からの求婚は引きを切らないそうだからな」

「うんうん、で、その申し込みを全部断っちゃってるんだったけ?」

「そう聞いている、何でも自分より強い雄にしか興味が湧かないらしいな」

「贅沢な話よね」

 春が来たようだ! ヒャホーイ! グフングフン!
 ど、どうやら私の知らない所で美しい女王が身の程知らずの小物たちに付き纏われて難儀をしているようだ。

 これで動かなきゃ男じゃないだろうし、私もそろそろ繁殖欲が高まって、グフングフン、こ、ここでこの馬鹿みたいな一行と出会った事も運命的なものを感じるしな。
 女王って位だから身分も高いのだろうし王族の私にふさわしいんじゃなかろうか?



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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