【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1000.星を見る者
レイブは無言のままで思ったことを整理し始めていた。
考えるまでも無い事、この世界で生きる者ならば常識と言って憚らない内容を一つ一つ思い出して答えを導こうとしていたのである。
この世界で最も多い個体は無論、モンスターである。
古伝に曰く、モンスターは最初、ニンゲンたちに飼育されていた、らしい。
最初は自らの飼い主である人間を襲い敵対し始めたと伝えられている。
飼われていた個体が全て変質した後、モンスターとなった魔物達は自然繁殖を始めたそうだ。
ニンゲンを襲って喰らい、得た魔力の量だけ自らの後裔となる種を増やし続けたのである。
凶暴な力と巨大な体、貪欲な食欲と旺盛な繁殖力を持った彼等はその数を、世界を覆い尽くすほどまでに増加させると、今度は強烈な飢え、渇望を命の規範として、隠れ潜もうとするニンゲンと野に住むケモノを襲い出したのである。
今から数千年前、モンスター以外の命が潰えてしまう危機に襲われたとき……
酷く突然に彼等は現われたのである。
伝説だと思われていた巨大な爬虫類、竜種と、天を衝く様な巨体を持った野獣の大型種、魔獣達である。
戦闘力に於いて、モンスターを遥かに凌駕する竜や魔獣は、これまでの鬱憤を晴らすかの様に、自ら進んで戦いの中に身を投じ続けたのである。
だが、魔力、生命力に溢れ捲るモンスター達と戦い続ける内に、竜達は処理し切れない魔力に毒されてしまった自らの肥大した鱗によって動く事が出来なくなり、魔獣達はパンパンに膨らんだその身を哀れにも爆ざし始めたのであった。
最早自由に動く事も不可能になり、先に逝った仲間たちと同じく死を待つばかりとなり、全身をモンスター達に生きたまま齧り取られ続ける竜と魔獣達の前に彼等は現われたと言う。
その名はスターゲイザー、初代の魔術師と言われるオンドレ、コダイと、バックル、タツヤであった。
突然現われた二人は見る見る間に竜と魔獣達を死の淵から救い上げたんだそうだ。
顔に大きく重なり合った裂傷を持つタツヤ様、バックルは破裂直前の魔獣達の体のあちらこちらを小さな刃で切り裂いて出血させ、元のサイズにまで戻ったのを確認すると、ヒール、快癒の魔法を掛け続けてアッと言う間に全快させてしまったらしい。
その後、動けなくなっている竜の鱗を同じ刃でこそぎ落とし、彼等をも回復させたのだと言う。
その間に、周囲を埋め尽くしたモンスター共はコダイ様、オンドレが一匹残らず叩き潰してしまったらしい。
全身を光り輝く金属質へと変えて屍の中に佇んでいたオンドレは初代の鬼王と呼ばれ、優しい表情で竜と魔獣を癒したバックルは最初の魔術師と呼ばれたそうだ。
その後、オンドレとバックルは自らを慕って後を付いて来た竜、魔獣、そして生き残った人々を三者づつに分け、効率良くスリーマンセルとして行動するように言いつけたそうである。
弟子となった数多のスリーマンセルが育つまでの間、二人は事ある毎に静かに空を見続けていたと伝えられている。
直弟子達は二人をスターゲイザー、星を見る者、そう渾名したのである。
やがて、弟子が充分に成長した、そう判断した彼等はある日、その姿を忽然と消してしまい、それ以降誰にも見つける事が出来なかったのだそうだ。
一説には、世界中のニンゲンが住み暮らす場所を訪れて生活魔法を教え、周辺に居た凶悪なモンスターを狩り尽くして、自衛の手段を教えた偉人の名がオンドレとバックル、奇しくも同名であったと言い伝えられているが、真偽の程は定かでは無い…… 遥か昔の事なのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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