【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1011.晩餐とグルグル
『「…………………」』
幼いカタボラは別として、ある程度知性を持ちうるエバンガと、周辺の空気感くらいは感じられる程には育っているラマスは無言のままで時を過ごしていた。
ニヤニヤヘラヘラしている真っ赤な竜と、鼻先だけで興奮した呼吸を繰り返している不気味な豚猪である…… 酷く気味が悪い空間を切り裂く様に、元気いっぱいの声がその場に響き渡ったのである、言うまでも無くレイブの声であった。
「お待たせっ~! 今日はいつも以上に丁寧に絞り上げちゃいましたぁ~、テヘッ、ペロ~!」
ラマスは表情を一気に綻ばせて喜色満面で言う。
「お、叔父様! 助かりましたっ! もう少しでストレスで死ぬ所でしたぁー」
レイブはキョトンとする。
「あれ? そうなの? ラマス、人間ってそんな簡単には死なないよ? と言うか死ねないよ? 適当なこと言っちゃあ駄目だよぉ! 馬鹿丸出しになるよ? ま、ま、兎に角! お待ちかねの晩餐だよぉ! 今日はベアとウルフのブレンドにしてみたんだ、ペトラがお気に入りだからね♪ ギレスラも好きだっただろう? さあ、飲んでっ! 美味しいぞぉ、ふふふ」
ドスッ!
言いながらレイブは巨大な手桶を土間に降ろした。
左右の手に提げていた大きな桶はどうやらギレスラとペトラ用だったらしく、ひとつは土間の内側に、もう一つは壁から覗いているペトラの鼻先に降ろしていた。
そうした後で自身の肩に下げていた皮袋状の水袋に手をやりながら大きな声で嬉しそうに宣言をするのであった。
「今日は俺がラマスに求婚して、無事キープされた記念日だっ! 今日の糧を思う存分楽しんでくれよ、我が輩よっ! んじゃあ、乾杯! 命をいただこうじゃあ無いかぁっ!」
次の瞬間、ギレスラとペトラが声と動作を合わせたのである。
両者ともタイミング良く、両の手を叩き合わせると同時にハッキリとした声で言う。
パンッ! 『『いただきますっ!』』
と……
レイブは自分のスリーマンセルの掛け声に合わせて、彼等が手桶の中身を飲み始めるのと同時に大きな皮袋から勢い良く内容物を飲み始めるのであった。
ゴキュゴキュゴキュゴキュ……
「『『プッハァー!』』」
ほぼタイミングを合わせて飲み終えたスリーマンセルの中でリーダーのレイブが音頭を叫んだ。
「良しっ! ギレスラ、ペトラっ! グルグルだっ!」
『『応っ! グルグルグルグル……』』
「グルグルグルグル……」
「え? え? な、何これ……」
突然の成り行きに理解が追いつかず思わずと言った感じで叫んだラマスの目の前で、レイブは紫のオーラに包まれてしまった。
「え…… ギレスラさん、まで……」
脇に目をやると驚いて目を剥いているカタボラの横で紅竜のギレスラまで紫のオーラに包まれながらグルグルグルと呟き続ける姿が目に映る。
『ペトラさん! だ、大丈夫ですのぉ? なんかビビットですわよっ! む、紫に光っていますけどぉ?』
『グルグルグルグルグルっ!』
エバンガの叫びとその後に続いたグルグル発言から察すると、家屋の外でも同様の紫発光現象が起こっていたらしい。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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