【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1320.激白
「それは真実だな、私の先祖は彼等の祖と共に海を渡ったと伝えられているんだ、尤も、我が祖は極東ではなく西の果てから来たそうだがな」
おうふっ! 一気に信憑性が高まったじゃん! 鎧壁グッジョブ!
「なっ、そうだよな? ペジオ」
コクリ
返事は無かったが、野ウサギ改め、ピョン壁が力強く頷いた。こりゃガチモンだ!
こーゆー無口な豪傑キャラがテキトーな事には反応しないって相場がきまってんだよなっ!
ならば迷うことは皆無だ。
『あのっ!』
「ん? ああ、やっぱ嫌だよね、ごめんね豚緒、勝手に話を進めちゃってぇ」
馬鹿言ってんなよ赤壁。
『いえ、いいえっ! 私、やりたいでっす! 『森王』になりたいのでっすぅっ!』
獅子壁が怪訝な顔で聞き返してきた。
『本当に? 無理してるんじゃないの? まだ二歳なんでしょ?』
二歳って…… まあ良い、今大切なのはそんな所じゃないっ!
『本当の本当、本気中の本気ですぅ、子供の頃からの夢、いいえ、一族に代々伝わった生きる目標みたいな大望なんですよーっ! お願いしますからぁー、私を『森王』にぃー』
私の必死の懇願は壁達にも届いたようだった。
『そうなんだー』
「しかし辛いかも知れんぞ?」
『辛くありませんっ! いや寧ろ私って辛いのが好きなんです! 大好物なんですよっ!』
『お、おう…… まあ本人が望んでいるんだし? 問題無いよな、ペジオ?』
コクリ
「つまりバッタモンじゃなくて本物が良いって事よね? それにしても二歳でドMとか、この子超変態じゃーん!」
つまりじゃねーよ! お前こそ耳掃除とかしろよ! 大分つまってるみたいだぞ?
こんな赤壁は放っておいて気が変わらない内に既成事実化しとかんと!
『では、そーゆー事で♪ 皆さんハタンガに向かいましょうか♪』
「はぁーアンタって本当に馬鹿なのねー、アンタが道を聞いてこなけりゃ出発できないでしょー? 本当に呆れるわー、馬鹿ね馬鹿、大馬鹿のドMなのねー」
くっ、辛抱だ辛抱! アリスってのと結婚して『森王』になりさえすれば、こんな馬鹿娘、一生会う事もないんだからな!
『道だったらアタシ聞いてきたわよ、あっちの笹林で白くまに教えて貰ってきたの! ……あれ? 白くま? かな? 黒くま? んん?』
ああ、笹枯らしに会ったのか、少し助け舟でも出してやるとするかな。
『手足が黒で他が白いヤツでしょう?』
『あ、うん、そうそう! あーでも他にもぉどこだっけぇ?』
『はいはい、目と耳ですよね? あれパンダって言うんですよー、えへへ』
『へー珍らしいくまよね、あれ?』
『ですね、珍獣みたいですよ?
「んで道はどっちだって?」
この赤いの何とかならんのだろうか? 折角良い関係が築けそうだったのにっ!
『真っ直ぐ北だって! 歩いたら一月位掛かるらしいわよ』
「マジか、遠いな」
『では早速出発しましょう! 先は長い様ですし』
「アンタここにいる獣はどうするのよ? アンタの仲間なんじゃないの?」
一々、旅立ちを引き止める赤壁に私ははっきりと告げたのだ。
『仲間? いいえ、全くの見ず知らずですよ! 大方そこらの野良魔獣でしょ?』
と……
こうして私は変な奴等とハタンガを目指して旅立つ事になったのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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