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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
272.軍団編成 ②

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 バクバク行くのかと思ったが、予想外に一口づつしっかり味わいながら、頬に手を当ててムホォゥとか一々叫ぶコユキ婆ちゃん、見ていて孫の私、観察者まで嬉しくなってしまうぞ。

 善悪は棚から大量の『しょっぱい』やつ、煎餅を取り出して、ルクスリアやグローリア、自分用にも緑茶を淹れて勧めていると、タイミング良く残りのアフラマズダ五人、『努力』のアセディア、『慈愛』のインヴィディア、『慈善』のアヴァリティア、『忍耐』のイラが次々と居間に入って来たのだが、少し遅れて一際大きな紫の体を引き摺りながら『節食』のグラがフゥフゥ息を吐いて続くのであった。

 努力のアセディアは執事っぽい動作に合わせてコユキに告げるのである。

「コユキ様、軍団は四十六柱だけでは有りませんよ、人ではありますが半霊的な存在となった我々アフラマズダ七人、現在は魔核再生の為に実体化していないですが、元々魔王種だったアンラマンユの七柱達、それに、忘れてはいけないオルクス卿始めスプラタマンユの七柱の魔王種、合わせて六十七体がお二人に従っている事をお忘れなく」

『おい、ボン! 俺達三柱、それにガープの奴も忘れんなよ! だから、あわせりゃ七十一体だぜ~! そう考えると結構な軍団じゃねぇかぁ~!』

善悪とコユキの頭の中にベレトの雑な言葉遣いが響くのであった。

「もぐもぐ、そっかぁ、皆も数えたら結構な人数なんだねぇ? 心強い事この上ないよ、みんなこれからも頼んだわよ!」

 周囲に居るアフラマズダと漆黒の念珠の中のアンラマンユ、半透明のゼパル、ベレト、カイムだけじゃなく、BLキャラっぽい三体の編みぐるみ達も揃って丁寧な礼を返すのであった。
 チョットぎこちなくて逆に微笑ましかったりもする、大物悪魔や人間の欲や徳の集合体ばっかり集まった幸福寺独特の新鮮さと言えるかもしれない。

 言い替えればメジャーリーガーばっかりの試合に急遽出場する為に呼ばれてしまった、一般応募の草野球選手みたいな感じかもしれない、しかも、コユキと善悪というオーナー若しくはコミッショナーも観戦中の試合にである、私、観察者がその場に連れ出されたらと思うと、考えただけで胃痛を感じてしまう程である、胃、無いけどね。

「んでね、今からクソババア、グフングフン、コユキ殿のお婆ちゃん! 師匠の命令でアーティファクト、所謂いわゆる『聖遺物』を蔵に探しに行こうと思うのでござるが、誰か手伝ってくれる? でござる! どう?」

 すぐさま手を上げたのは赤い髪にローブを目深に被ったイケオジ、『忍耐のイラ』である。

「善悪、俺が行こう」

 善悪も無言のままで頷きを返し、二人で向かおうと腰を上げた所で、『母性』のルクスリア、元『淫蕩いんとう』の罪であり、生前はイラの奥さんだったピンク顔の大徳が声を裏返して手を挙げるのであった。

「ア、アタクシモ、イッショニイキマスワ! フッフッ、フタリデハ、タイヘンカモシレナイデスシっ!」

 善悪は全部承知しているっぽい感じで言うのであった。

「そうでござるな…… んじゃあ、イラとルクスリア付いて来ておくれでござる! コユキ殿と皆はここで待っていて欲しいのでござる!」 パチり!

 片目をウィンクして悪戯いたずらそうに笑みを浮かべる善悪。
 コユキもその他のメンバーも、何も言わず三人を送り出したのであった、これがチームワークに言葉は要らない、『聖女と愉快な仲間たち』正規メンバーにとって、当たり前の気配りになっていたのである。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!


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