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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1007.アザトカワイイ


「んじゃ帰ろうか皆、俺たちのご飯がまだだから厩舎きゅうしゃに寄ってからになるけどもう少し付き合ってよエバンガ、カタボラ、ラマス…… ん? ラマス? どうしたのさ、小刻みに震えちゃったりしてぇ?」

 ああ、確かに……
 話の後半位から黙り込んでいたラマスが顔を真っ赤にしたままプルプル震えているではないか、尿意でも我慢しているのだろうか? 我慢は体に毒だ、早く言ってさっさとお花摘みに行けばいいのにぃ。

 若い娘としては一生の不覚にもなってしまう、お漏らしの危機を物ともしない感じでラマスは話し出したのである。

「あ、あのぉ、アタシ、あ、アタシぃ、い、嫌ではないです…… むしろ嬉しい、とか? まで、あるんですけどぉ……」(ポッ!)

 レイブは首を傾げて聞き返す。

「いや嫌がろうよ、嬉しいとかかなり偏った性癖だよ、それ! 人気が無い所ですっきりしてくれば良いじゃないの? そう言ういびつな事って一度踏み込むと戻れなくなるとか聞くよ? 油断一瞬後悔一生ってやつさ! さぁ、どっかでお花を摘んでおいでよラマス」

 ペトラ、ギレスラ、カタボラ、エバンガの四者もレイブの意見に同意だったのか何度も頷いている。
 人間に比べて嗅覚が優れている魔獣と竜種だ、嗅ぎたくは無かったのかも知れないな、納得納得。

 さっさとお花摘みに行けばいいのにラマスはまだこの場に留まったままで発言を続けるようだ、馬鹿なのかな、この娘。

「あの、現在尿意は感じていないんですアタシ…… そっちじゃなくて、あの、結婚、の方なんですけどぉ、叔父様さえ良かったら、ってか本気っぽいしぃ、そんなに嫌じゃない、ってか嬉しいようなぁ、きゃっ、恥ずいっ!」

 ほお~、そっちに来たかぁ、さてさてレイブの反応は?

「尿意は無いのかい? 便意は大丈夫なのかなぁ?」

「便意は無くは無いですが大切な話をしている最中なんで今のところ我慢が可能です」(ポッ!)

 何だ? このやり取り?

「そうか、我慢し過ぎちゃ駄目だよ、それよりっ! そうかっ! なーんだ、結局結婚オッケーだったのかぁラマスぅっ! なーんだなんだなんだぁ、あれかな? 無駄に焦らしてマウント取っていくスタイルだったのかなぁー、そっかそっかぁ! それってぇ、結構なクズ野郎属性なんじゃないのぉ? まあ、色々確認したい事はあるけどそれは追々で良いかなぁ? 絆優先だもんねぇ…… んじゃ結婚するか、ラマス?」

 軽いな、それになんか先行きに不安を感じさせる言い口だしなぁ…… 不安だ……
 こんな不穏ふおんなレイブの前で、当のラマスは俯いたままモジモジしながら答える、お前、調子に乗ってると殺されるぞ?

「え、えっとぉ、アタシまだ十二歳で子供だしぃ、結婚とかぁ? どんな風にすれば良いかとか判んないしぃ? えっとぉ、えっとぉ?」

 言いながらレイブの表情を何度も確認している様子が確認できた。
 コイツはコイツで中々やるようじゃないか、良いぞ。

 レイブは頷きながら答えたが、ラマスのあざとさには一切気が付いていないようである、まあほぼ野生児だもんな、仕方なかろう。

「そっか、ラマスはまだ若いもんな! じゃ、さっき言ったみたいに婚約って形で良いんじゃないか? それで良いかい、ラマス?」

 ラマスは業とらしいモジモジを続けながら常以上に可愛らしく聞こえる小声で答える。

「うーんと、うーんとぉ、婚約とか難しくて判んないからぁ、えと、キープでも良いかなぁ? 駄目ぇ?」

 レイブは怪訝けげんな声だ。

「キープ? 何、それ?」

 周囲の獣奴じゅうど闘竜とうりゅう達も首を傾げていた。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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