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Vol.12 漢字と雨、アーティストの理性と感性、そしてそれを繋げていく作品《ki/u》

ヒョーゴさんの炭アートに続き、アーティスト大谷陽一郎の作品について感想をnoteに残したいと思います。本心の中ではいつも「こんなに素晴らしい作品を実際見に来ないと損だよ」と叫んでいますが、ギャラリーとしてそんな表現はどうなのって怒られそうで口に出せないです。はい、ちゃんと格好つけた文体で書きますよ(最近日本語の添削をAIに頼ってるから、もしおかしな表現があったら決して私のせいではない、ということでw)。

雨降ると街に出て写真を撮りたくなる

雨が降る日、気分が変わることはありませんか。淋しくなったり、悲しくなったり、穏やかになったり人それぞれだと思います。低気圧の影響で頭痛になってイライラすることもあります。私の場合はどちらかと言いますとテンションが上がってしまいます。料理に例えるなら、寂しさや悲しみや穏やかさなどの野菜でチャンプルーにしたようなものですね。全ての感情を本来よりも多少増幅させた感じです。

これも私の写真。大谷さんの作品への感想文なのに…

AIに聞くと、
「雨が降ることは多くの異なる方法で人間の感情に影響を与えることがあります。この影響は人によって異なり、文化、個人的な経験、そしてその時の気分や状況に依存します。以下は、雨が人間の感情に与えることがある一般的な影響のいくつかです。
(略)
感謝や感動: 一部の文化や個人では、雨が農業にとって重要であることから、雨を祝福や感謝の対象と見なすことがあります。
(略)」

なるほど。「感謝や感動」はなんだか日本的、そしてアジア的ですね。そのような感情をアートに昇華させてきたのが、今回の二人展で展示される作品を手がけるもう一人のアーティスト、大谷さんです。彼は漢字そのものを「視覚的な詩」として使って、古来より雨に揺さぶられてきた日本人の感情を表現しています。

まず、彼の作品に目を向けると、「漢字」と「雨」という二つの要素が視覚的に目立ちます。どれも彼の内面から出てきたものだと思いますが、同時に対照的なものであるとも感じます。

雨を表現する《ki/u》シリーズ、「祈る雨」=「kiu」から由来
kiとuの発音をする漢字をランダムに配置

漢字は彼の理性や論理を象徴しており、古代から継承されてきた漢字圏独自の文化と歴史を研究する上で自分の「絵具」として選んだと思います。漢字の文化は世界においても珍しく古代からずっと継承され続けてきてまだ使用されている象形文字だとか、後から使われるようになった中国の簡体字の「气」は昔の繁体字の「氣」と日本語の「気」と比べても古い形をとっている(偶然によるものなのか、あるいは調査に基づく採択なのか)とか、いつも嬉しそうに語っている大谷さんですが、彼が漢字の文化にどれほど心を込めているかが容易に理解できるでしょう。

一方、雨について彼の見解は先ほどAIが説明した内容と通じるものがあり、「古代から日本人の感情を揺さぶってきた」と語っています。そして彼がTOKIONによるインタビュー記事の中でも語っていました「黒い雲はすぐに流れて清々しい青空が広がっていったんですよね。心の中で洗い流されていくような感覚がありました。」とか、このような言葉からも、彼の感性が強く強く現れてくる部分だなと感じています。

理性と感性、漢字と雨、これらを巧みに結びつけるのは彼の技法だったり、器量だったり、情熱そして遊び心だったりして、これら全てが混ざり合い、調合された作品という形で私たちの目の前に展示されているわけです。そして展示期間ずっとこのような素敵な作品と同じ空間の中でいられるのは、ギャラリーをやっていて良かったなと思わずニヤッとします。

2023年10月7日(土)- 11月4日(土)
開廊時間:13:00-20:00
休廊:日,月,火

※10月8日(日)臨時営業 13:00-20:00
※10月11日(水)時短営業 13:00-16:00

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