アートは「モニュメント」、人間しか理解できない人間についてのアーカイブ - アートコレクター インタビュー Episode.β

このアートコレクターのインタビューを読んで、さまざまなインスピレーションを受け、自分がコレクターとしてどのように考えているのか、また、自分の内側にある思想を追求してみたいと思いました。そこで、私も同じ形式で質問に答えてみました。

コレクタープロフィール:

40代、男性
ギャラリーオーナー
アートコンサルタント

Q1- アートの目的は何ですか?

Q1- What's the point of art?

アートは、人間しかその意味を理解できない人間の存在を記録した「モニュメント」のようなものだと思います。だからこそ、想像を超えるような作品やアーティストは高く評価され、時にはとても高額で取引されます。結局のところ、こうした作品は大事に保存されるからです。たとえば、100万円の作品よりも1000万円の作品の方が、保存に気を使われます。数億円の作品ともなれば、保管場所の環境や警備、保険などが最高のものになります。
2024年3月に香港のガゴシアンで展示されたウォーホールたちの作品は、限られたスペースにもかかわらず、6〜8人の警備員がいました。良い作品はコレクターの手に渡り、時にはその後セカンダリー市場で再び取引され、美術館や次の時代に残されていくのです。
アートの世界では、評価される基準が上がれば上がるほど、その精度も高まると思います。当然ながら、マイスターたちの作品こそが「モニュメント」のためにちゃんと保存されるべきだと思っています。

Q2- どうして続けているのですか?

Q2- What keeps you going?

昔からの夢があります。それは、自分が集めた作品を展示する美術館を作り、後世に私が生きた時代のアートを見せることです。大都会にある立派な美術館よりも、雄大な自然の中にポツンと佇む、可愛らしい建物の方が良いかもしれません。例えば、私がアイスランドの旅で出会った小屋のような。

Q3- 購入する作品はどうやって選んでいますか?

Q3- How do you choose what to buy?

シンプルに言えば、その作家のオリジナリティです。すべての作品には独自性があると思いますが、その「強さ」が大事です。あと、作家の思い切り感も重視します。成熟したアーティスト特有の思い切り感ですね。

「星を思う場所」 アーティスト:荒木由香里
アーティスト:栗木義夫

Q4- アート作品を購入する際、何を重視しますか?

Q4- What do you look for when buying a work of art?

アーティストとの対話ですね。作品だけでは伝わりにくい部分があるので、直接話を聞けると、その作品への理解や価値が深まります。

アーティスト:Christian Megert

Q5- 自分自身について、最も正直なことは何ですか?

Q5- What is the most honest thing you can say about yourself?

自分の不完全さを認めることです。40年間、自分に対していろいろな不満がありましたが、最近やっと自分と折り合いをつけられるようになりました。その点で、思い切り感のある、未来を見据えながら生きているアーティストにはいつも憧れてきました。


Q6- 今、本当に買いたいと思うものは何ですか?

Q6-What is the one thing you now really wish you could buy?

バフェットさんとのランチですね。つまり、知恵のある人との対話を、いつも望んでいます。(もちろんそんな金額を払えません。頑張ってふざけてみました笑)

Q7- 家で飾っているアーティストは誰ですか?定期的に入れ替えたりしますか?

Q7- Which artists do you display in your own home? Are you constantly changing the works you have there? Is there a core of favourites which stay there?

家田実香さん、松浦啓介さん、荒木ゆかりさん、田崎さんの作品です。私はとても気分屋なので、気分によって作品を出したりしまったりしています。

Q8- 最初に見た時に、一番喜んだ作家は誰ですか?

Q8- Who are the artists you are most pleased with discovering?

ギャラリストを辞めたら話します(笑)

Q9- もしどんな作品でもコレクションに加えられるとしたら、誰のどの作品が良いですか?

Q9- If you could wish any work of art in the world into your collection what would it be?

今は正直、松浦さんの作品をもっと集めたいと思っています。自然の影響力と人間の意志の関係性を問いかける彼の制作思想は、私が所有している『Jiba』シリーズだけでなく、他の全てのシリーズにも一貫しており、どの作品にも大変魅力を感じています。そのために、まだまだ自分自身を高めないといけないですね、コレクターとして。
あと、欲を言えば、アーティストが設計した建築物ですね。最近カサ・バトリョを再訪して、改めて感動しました。アートそのもののような家に住んでみたいです。

アーティスト:松浦 圭祐
カサ・バトリョ内部風景

Q10- 子供の頃にコレクションしていたものはありますか?

Q10- What did you collect as a child?

車や飛行機など、あらゆる乗り物の模型を集めていました。自由が大好きで、乗り物への興味関心が尋常ではなかったみたいですね。将来30分でヨーロッパに行けるちゃうスペースXができたら、ぜひ乗ってみたいです。




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