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成人式を服装が原因で諦めた自分が、今年の1月7日成人式を開催した話


株式会社クーゼス/keuzes Inc.代表。
1994年、福岡県北九州市生まれ。
2018年3月にenter合同会社を設立し、
「成人式に何を着たら良いんだろう」という自らの悩みを発端に
女性の体に合うメンズライクなスーツブランド
『keuzes (クーゼス)』をスタート。
2020年11月に株式会社クーゼスに組織変更、 代表取締役に就任。


私は18歳の頃、服装が原因で成人式を諦めた過去があります。

成人式に自分が何を着たいか考えたときにスーツが着たい!と思い、探してみたものの店舗に行く勇気が持てず、結局成人式には当時参加できませんでした。

そんな過去の出来事もきっかけとなり、keuzesという女性の体形に合うメンズパターンスーツのブランドを立ち上げ、全国の方から成人式にで参加したいとご連絡を頂いたことで、今では参加される方のお手伝いをする立場になりました。


大人になって気づく成人式への後悔

1年以上前から、成人式の為にスーツを作りたいと連絡をもらい成人式に対する熱量を感じることや、スーツを作る時にご家族の方々も一緒に来てくれてあれがいいんじゃないか、これがいいんじゃないかと、ワイワイしてる姿を何度も目の当たりにし、人生で一度しかない機会を服装が原因で諦め全力で楽しむことが出来なかったことを大人になり少しづつ後悔するようになりました。

ですがそんな気持ちより、人生に一度の大切な日の為にkeuzesのスーツを選んでくれた喜びの方が大きく、当日は自分が着たい服を着て全力で楽しんできてくれという思いで、その人の為だけのスーツを作り続けていました。

そんな中ある日お客様との会話の中でこんな事を聞きました。

「着たい服装はもうkeuzesでスーツを作ったから手に入ったけど当日行けるかは分からない」

最初は都合が合わないのかなくらいに話を聞いていたのですが、
話を聞いていくと、私には気づくことのできなかった悩みがあることを知りました。

“”
今住んでいるこの場所で生まれ育ち、学生時代は当たり前に制服のスカートを履き女の子として過ごしてきた。休みの日はジャージかスウェット。
本当はスカートは履きたくなかったけど制服だからと割り切っていた。
既に性別で服装が決まっていたからそこに自分の意思はなかった。
だけど成人式は違う。自分で服装を決めることが出来る。
可愛い服装が苦手な自分にとって振袖を着ることが本当に嫌だったから成人式に参加するならかっこいいスーツがいいとずっと前から思っていた。
そうしてようやく今日keuzesで作ることが出来た。
だけど地元の成人式に行けば女の子でスーツを着ているのは自分だけ。
自分の姿を見てどう思われてしまうのだろう。不安と怖さで行くことを躊躇っている。
そんなことを当日ずっと気にしながら過ごして楽しめるかわからない…
””

私は当時参加した後の不安より、もっと前の段階である着たい服装が手に入らなかったことから同じ悩みに至ることはなかった。

きっと自分もあの時自分が着たいと思える服装が手に入っていたら、
同じ悩みを抱えていたかもしれないと思った。

独自で成人式イベントを開催した理由

この悩みを聞いたときに、成人式に自分が着たいと思える服装を提供するだけでなく、
当日自分らしくいられる時間や場所を作る方が重要なのではないかと感じ、keuzesで成人式を開催することを決めました。

どうしても成人式を開催したいという気持ちからだいぶ思い切った決断ではありましたが、今まで有難いことに赤字になったことがないkeuzesですが、
これを機に成人式開催にあたって会社にあるお金を全て投下して、無事大赤字確定イベントとなりました。

赤字になろうともこのイベントがやりたいという気持ちのみで、一緒に決断してくれたkeuzesメンバーにはとっても感謝しております。

そして無事2023年1月7日にSEIJIN-SHIKIを代官山カラートで開催することができ、全国から120名もの方が参加してくれました。


開催を決めた理由は前述した通りお客様との会話がきっかけでしたが、
あわよくば私の成人式への負の気持ちも浄化されたらいいなという思いもありました。

ただ当日どんな時間が流れるのかは正直想像が出来ず、
実は当日会場に行くまで、どこか他人事のような気持ちでいつまで経っても実感が湧かず緊張すら出来ずにいました。

続々と会場に参加者の方々が集まり、そしてリハーサルを終え皆さんの入場を迎えたあの瞬間と光景は今後忘れることのできない思い出となりました。

新成人の皆さんのキラキラした笑顔と、そんな皆さんを温かく見守るサポーターの皆さん、そして運営スタッフの皆さんの表情を見たときに、既に私の中ではこの会を開催してよかったと心から感じる瞬間でした。

当日は参加してくれる全ての人に楽しんでもらえるように株式会社スペサンの皆さんにもご協力いただきながら準備を進めてきました。

特にこのイベントのプロデューサーである柴田さんは、この会が素敵なものになるようにと誰よりも心を込めて当日まで一緒に創り上げてくれました。
前日4時くらいまで一緒に準備をしていたのも今となってはいい思い出。笑

そんなみんなの思いがこもったこのイベントは私の想像をはるかに超えて当日素敵すぎる時間が流れ、本当にあっという間に私がクロージングスピーチを話す時間になってしまいました。

私がkeuzesを立ち上げてから沢山の人と出会い様々な話をする中で、
自分自身の話を今日初めて田中さんにすることができましたと言ってくれる人がとても多く、
その理由は、自分の話をしたら友達と今までの関係ではいられなくなってしまうのが怖いからや、どう思われるのか不安などの理由が多いように思います。

ですが、私は全国を回りみんなが同じ不安や悩みを抱えていることを知っています。
でもみんなが同じ悩みを抱えているという事実を知らないから、自分だけがどこか人と違うのではないかと感じているのではないか。

そう思っている人が全国に溢れていることを私は知っているから、
同じ共通点を持つ仲間に出会ってほしかったし、
そしてあなたがいかに普通であるかということを知ってほしかった。
あなたが感じている違和感は何も変じゃないし、何もあなたは特殊なんかじゃない。

このイベントに来て、帰る時にはなんだ世の中同じような人っていっぱいいるじゃん、不安に思うことなんてなかったと思ってもらえたなら私はこの会を開催した意味があるなと思いました。

2024年1月7日に2回目の開催が決定


実はこのイベントを開催してから来年の開催を待つ声が多く届くようになり、来年の1月7日に2回目の開催をすることが決定しました。

今回も沢山の人たちのお力を借りながら、誰もが成人式という大切な節目を自分のありたい姿で迎えることのできるそんな場を創りたいと思っています。

実は前回の成人式を開催したとき、とあるウェブメディアに取り上げて頂きYahooニュースのトップに記事が上がったりするミラクルが起きていたのですが、そこに寄せられたコメントの中にはネガティブな言葉も多く寄せられました。

コメントを読んだ時の率直な感想としては、私たちが生きている今この時代には自分らしく生きるために悩みを抱えている人が沢山いる事実を知らない人がこんなにもいるのかという驚きと、
実際に全国を回り、そこには悩んでいる人が存在することを私は見てきたからその現状を知ってもらうために私が声を発する必要があるのだなと感じました。

このイベントを通して、服装だったり当日の自分のありたい姿について悩んでいる人がこんなにもいるという事実を知ってもらう機会になればいいな。

そして1人でも多く成人式という人生で1度しかない経験を悔いなく迎える事の出来る人を増やすことが出来たら嬉しいです。

最後の言葉で私が皆さんに伝えたのは、
幸せってなんだろうと考えたときに自分の中で至った結論は思い出したくなる思い出があるかということ。
そしてその思い出の数が多ければ多いほど幸せの%は増していくのではないかと。

この成人式も参加してくれた全ての人にとって思いだいしたくなる思い出となっていますように。

SEIJIN-SHIKI by keuzes はこちら https://keuzes.co.jp/seijin-shiki

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