詩）このライトの下で

コートを照らすライト
20m×40mのコートを隅々まで照らす

このライトの下
誰よりも声を上げ
誰よりも喜び、はしゃぎ
誰よりも悲しみ、悔しがった
自らがプレーをするわけでもないのに

このライトの下
大きな歓声に拳を天に振り上げる選手
ため息の中を崩れ落ち頭を抱える選手
勝ったチームは光に包まれ
負けたチームは影を落とされた

ライトは全てを照らしだす
金にもならない
誰の為でもない
ただ夢を叶える為
青春と呼ぶには遅すぎる
いい歳の大人達が感情を剥き出しに
ガムシャラに夢を追いかけた

掴みかけたはずの夢は
指の間からヌルリと落ちてしまった
勝利を掴み栄光を得た者は
その瞳に何を写したのだろうか

このライトの下
感動と挫折、夢と現実を見せられた
いつの間にやら情熱は失われ
あの時、見えていたものは見えなくなった
いったい何を追いかけていたのか

ライトはコートを照らす
誰かの気持ちまで照らし出すように
全ての事象を見透かしたかのように
今日も変わる事なく
ライトはコートを照らし続ける